酒見賢一『後宮小説』 [歴史関係の本(小説)]
『墨攻』の原作者、酒見賢一のデビュー作。日本ファンタジーノベル大賞の第一回目の受賞作であり、直木賞の候補にもなった作品。
ストーリーは、出版元新潮社のウェブサイトを見ていただきましょう。一般名詞のような奇妙なタイトルからして風変わりな作品ですが、これがなにゆえファンタジーなのかというと、ストーリーもさることながら、まったく架空の正史をさも本当らしく紹介しているところ。時々織り込まれる、ちょっとユーモアある「筆者」のコメントが、「さも史実らしい感じ」をだしていて面白い。人物描写も面白い。主人公銀河をはじめ、紅葉や渾沌など魅力的な人物が多い。最初、時代設定がなぜ17世紀?という感じがしたのですが(煙草と火砲を小説中に登場させたい、という理由にしては、かなり弱い)、最後に判明。いい結末です。まぁネタがネタだけに、閨房がらみの話が多いのですが、淫靡な感じはまったくなく、「乾」いた印象。西洋歴史小説の賢一サンとは違って、セックスそのものの描写がほとんどないからでしょうね。『雲のように風のように』というタイトルでアニメ化され、テレビ放映もされました。アニメ作品のオフィシャル・サイトはこちら[http://pierrot.jp/title/kumokaze/]。
2007-02-24 23:40
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165~166ページによると、女性が裸でいるところに不意の闖入者があった場合、東洋の文化圏では乳房を隠さず下を隠し、西洋の文化圏では乳房を守るように隠す例が多い、ということです。若い女性が素っ裸でいるところに不意の闖入者があった場合、上を隠すか下を隠すかが、東洋文化と西洋文化のバロメーターになるということですが、今日資料集に出ていたボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」を見ていたら、両方隠しているようです。フォンテーヌブロー派の「ガブリエル・デストレとその妹」を思い出しました(笑)。
by zep (2007-02-26 20:45)