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NIEに挑戦 [現代社会ネタ]

 地歴公民科を担当している私は、最後の定期考査が終わったあとの終業式までの授業をどう組み立てるかという点で毎年頭を悩ませます。今年は現社で新聞を使ってみました。専門の先生方から見ると稚拙な授業でしょうけど。

 使ったのは、①2月16日の熊本日々新聞
         ②2月22日の熊本日々新聞
         ③2月24日の毎日新聞

 ②では一面の「日銀、0.25%利上げ」と、「暮らしへの影響ズシリ!?」という記事を印刷して全員に配布。政策金利である無担保コール翌日物金利とは何かを説明し、この利上げがわれわれの生活にどう関係しているのかをみることにしました。無担保コール翌日物金利については、今年ウチの学校が使用している清水書院の資料集の「補遺資料」中の「ゼロ金利解除~もう公定歩合と呼ばないで~」が役に立ちました(もう公定歩合という言葉は死語?....「公定歩合操作」という用語も教科書から消えるのでしょうか?)。そして「暮らしへの影響」の記事を読ませ、「貯金が多い人」「借金が多い人」などを列挙してそれぞれ有利か不利かを考えさせます。この記事では「預金の多い高齢者層には有利だが、住宅ローンの返済に追われる若年層にとっては負担増の可能性も。」という一文に注意が必要な気がしますね。「高齢者には有利で若年層には不利」という誤った読み方をする生徒も出てきそうです。利上げは、①預貯金の多い人に有利、②借金の多い人に有利、③高齢者に有利、④若年者に有利、という4つの命題について正しいと思う命題に挙手をさせたところ、③にあげた生徒が21人と約半分。「高齢者である」ということは、「預貯金が多い」ということとどれくらい相関関係があるのでしょうか?
 今回の利上げの背景について、記事に私があらかじめ線をひいておいた部分に着目させました。記事では昨年10~12月期の実質成長率が4.8%と好調だったこと、円安と不動産融資に歯止めをかけることなどが述べられています。ここで金利が低いとなぜ円安になるのか、ということでキャリー・トレードの話をしなければなりません。このキャリー・トレードが個人投資家にまで広がっていることが円安が止まらない理由の一つですが、③2月24日の新聞では、23日にも円は対ドル、対ユーロともに安くなっています。「日銀が利上げを行ったのに、円安が止まらないのはなぜか」という問題設定ができますね。③の「日銀の選択・下」という特集が使えます。
 次に①を使って、今回の利上げの根拠となった「GDP年率4.8%増」という記事を読ませます。②と①はB4の紙に両面印刷して全員に配布。ついでにその下の「新生面」も関係ある内容だったので、一緒に印刷(新生面には日付がはいっているので便利:ウチの小6の長男も担任の先生の指導で毎日要約をつくって読んでいるが、小学生に説明するのは少々難しいみたい)。「ズーム」という用語説明には国内総生産の解説があります。が、これがイメージとしてはとらえにくい。
 ここからが今日の本題(導入が長い!?)。今日の目標は、「GDPとは何か」「GDPとGNPの違い」「GNPの限界」を理解させることの三点。専門の公民の先生方からは笑われるかもしれませんが、専門外科目を教える私としてはけっこう大変。「GDPとは何か」で毎年使っているのが、前任の学校で使っていた山川出版社の教師用指導書(現代社会)に載っていた説明。小麦・小麦粉・パンというたとえを使って「付加価値の合計」がわかりやすく説明されています。私は数値の部分を空欄にして、生徒に記入させ「総生産物の合計-中間生産物の合計」「最終生産物の合計」「付加価値の合計」の三つを計算させて、いずれも答えが等しくなるということで説明してみました。65分の授業でも、結局全部は終わらず明日に持ち越しとなりました。

 ところで熊本日々新聞では、まだ公定歩合という用語を使っているようです。日銀が「もう使わない」って言っている以上、法律用語でもないわけですから、使わないのが妥当だとは思いますが、それだけ馴染み深い言葉ってことでしょうね。ちなみにウチの一年生に「公定歩合」を中学校でどのように習ったか、と尋ねたところ、「習った記憶はあるが、内容は覚えていない。入試に絶対出ないって先生は言ってた。」ということでした。


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aia

なるほど。
コドモ時代(とかいうと年代がバレますが)よく耳にした公定歩合という言葉はもう使われなくなりつつなっているんですね。勉強になります。
by aia (2007-02-27 04:56) 

zep

おお、パリに留学中とは素晴らしい。パリに遊学というと、ノートルダム大聖堂の上から放尿し、女性と子供をのぞいて26万418人を溺死させ、さらに大聖堂の鐘をもって帰ったガルガンチュワの話を思い出します(失礼)。フランソワ=ラブレーは冗談事[par rye ]がパリの語源だと言ってますが、本当はケルト人の一種族パリシィ族[Parisii]が語源らしい。ということで、来週は『ガルガンチュワ物語』第17章を授業でやりましょう。第13章のほうがいいかな?
by zep (2007-02-27 19:52) 

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