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ナチズムとポルシェ(2) [モノ教材(模型)]

 昨日の続きです。第二次世界大戦中、フェルディナント・ポルシェは戦車をはじめとする軍用車両の設計も手がけました。現在40歳以上の人なら、タミヤ模型の「ミリタリーミニチュシリーズ」にあったキューベル・ワーゲンや、キューベル・ワーゲンを改造した水陸両用車のシュヴィム・ワーゲン等を覚えているのではないでしょうか。名高い重戦車ティーガーⅠ型(ティーゲル、英語ではタイガー)も、その一つ。ですが、プラモデルなどで有名なティーガー戦車は、ポルシェの設計したものではなく、鉄道車両の製造をしていたヘンシェル社がつくったものです。1942年4月20日、ヒトラーの53回目の誕生日にあわせて、ポルシェ社とヘンシェル社が試作車をつくりましたが、検討の結果ヘンシェル社のものが採用されました。
 ポルシェ・ティーガーは、当時としては画期的な電動モーターで走る戦車でした。陸軍兵器局が要求した重装甲と連合軍戦車に対する圧倒的な火力は、結果的に車体重量の増大を招いてしまいます(50トンを超える重量があった)。このため機械式変速機ではこの大重量に耐えられないと判断したポルシェは、エンジンで発電し、その電気で走る戦車を開発しました。電気の量を変えてやると、スピードも変わる、したがって変速機がいらないというのがポルシェ・ティーガー。しかし大電流が流れたときにはコードが焼き切れるなど、機械的信頼性に乏しい代物で、制式採用とはなりませんでした。しかし90両だけ生産され、この車体を流用してつくられたのが、ティーガー駆逐戦車です。これは設計者のフェルディナント・ポルシェにちなんで「フェルディナント」と呼ばれ(のちには「エレファント」と呼ばれるようになった)、大きな戦果をあげました。ポルシェはさらに大戦末期には、マウスという超重戦車を開発しています。これは128ミリ砲(ティーガーの主砲は88ミリ)を搭載した、重さ188トンという電気駆動式の戦車ですが、重さ故に(ティーガー戦車の3倍以上)ほとんど実用化されず、2台だけ試作されたという記録があります(画像はごちら[http://www.achtungpanzer.com/pz7.htm])。




ティーガー(ポルシェ・プロトタイプ:左)と、駆逐戦車エレファント(タカラの食玩「ワールドタンクミュージアム」シリーズより)

 こうした軍用車両の開発がわざわいして、ポルシェは戦後ナチス協力者としてフランスに拘束されてしまいます。かつてはポルシェの才能を高く評価するためか、「拘束はルノー社の陰謀であり、日本でも日野自動車が生産していた名車ルノー4CVもフェルディナント・ポルシェが開発した」という説が広く信じられていましたが、これは誤った説のようです。釈放後は息子と共にスポーツカーとしてのポルシェのブランドを確立したことは、よく知られている通り。フォルクスワーゲン社の会長 フェルディナント・ピエヒは、ポルシェの孫にあたります。  アウトバーンの存在は、ドイツを世界有数の自動車産業大国の基盤となったわけですが、そうしたルーツがナチスにあるとは皮肉なことです。  タミヤ模型のポルシェ特集「ポルシェ・パラノイア」[http://www.tamiya.com/japan/monthly/006_porsche/index.htm]

 ところでこのSo-netブログには、管理ページにアクセスカウンターがついていますが、そちらのアクセス数はとうとう10万を超えていました。

 私がカスタムペインに設置しているFC2のカウンターは、まだ7万台なんですが。どうもSo-netのカウンターは、単純にアクセス数だけをカウントしているようで2重、3重にカウントしているのでしょうね。

ポルシェの生涯―その苦悩と栄光 (1980年)

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ポルシェ博士とヒトラー―ハプスブルク家の遺産

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ティーガー1重戦車1942‐1945

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ティーガー―無敵戦車の伝説 1942~45〈下巻〉

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ティーガー重戦車 part 1

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ティーガー重戦車 part 2

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koushirou

マウスって188㌧もあったんですね~。 生産されていれば、エレファントの3倍近い重さなんですね^^; まあ、重ければ良い、というわけでもありませんが・・・・・・。

というか、ポルシェ自体が戦車開発に携わっていたなんで、少しも知りませんでした_| ̄|○ 今度からポルシェを見たときには、過去の歴史に思いを馳せることにします(笑)

ポルシェつながりですが、今日、浜線バイパスにてポルシェ911の年式不明(やや古)を1台、第二空港線沿いにてRUFの年式不明(かなり古)を1台見ました。
スポーツカーは見るだけで心がトキメキます♪
by koushirou (2007-03-25 22:18) 

zep

koushirouくんはメカモノが好きなんですね。マウスの188トンってのはかなり異常。ティーガーでさえ、重さ故の故障が多かったそうなので、マウスはほとんど実用できなかったでしょうね。同じ128ミリ砲をつんだ戦車で、「ヤークトティーガー(タミヤ模型の商品名「ハンティング・タイガー」)」という駆逐戦車もありました。ポルシェですが、「やや古」なのでなつかしの空冷エンジン時代のヤツでしょうね。我々の年代は「スーパーカーブーム」を経験している(デパートの屋上やサンピアンにポルシェやフェラーリ、ランボルギーニ、マセラッティなどを見に行った)ので、ポルシェ911というと、マンガ「サーキットの狼」にでてくるキャラが乗っていたカレラRSRがいちばん馴染み深いかも。あと930ターボかな。人吉高校に勤務しているとき、社長先生や日本史のM先生と飯食いに行ったら、928が駐めてあったので興味深そうに見てたら、所有者の人が来てコックピットに乗せてくれました(笑)。
by zep (2007-03-27 05:33) 

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