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レッド・ツェッペリン「移民の歌」 [音楽]

 綿引弘『手に取る世界史教材 入手と活用』(地歴社)には、「世界史授業のBGM」として松田聖子の「マラケッシュ」を使うという話が掲載されています。昨年度「総合的な学習の時間」に「ブリティッシュ・ロック入門」という講座を担当した私としては、やはりブリティッシュ・ロックを是が非でも使いたいところ。ということで、沢尻エリカ嬢が招待された再結成ライウのニュースがNHKでも流れた、レッド・ツェッペリンです。

 使える曲は「移民の歌」。ヴァイキングの侵入をテーマにした曲で、歌詞には「ヴァルハラValhalla」という北欧神話に関わる言葉も出てきます。 歌詞の邦訳が1990年にリリースされたベスト盤『リマスターズ』についてますが、これが今ひとつ。①「midnight sun 」が「真夜中の太陽」と訳されてますが、これは単純に「(北欧の)白夜」のことでしょう。②「The hammer of the gods」は、次の drive の主語では?③「On we sweep with threshing oar,Our only goal will be the western shore.」が「いつもアークの閃光とともに 俺は悪いほう悪いほうへと進むだけ」となってますが、「オールを激しく動かし 西の海岸を目指すだけ」とそのまま訳すべき、④「How soft your fields so green」は「何という感覚だろう この未熟さ」となってますが、これは北欧から来たヴァイキングが緑あふれる地に到達して感動しているのだと思いますが.....といったところ。こんな訳詞だったら、つけないほうがマシ。ちなみにこの訳詞は99年にリリースされた『BBCライウ』や2003年にリリースされた『伝説のライウ』でも使われています。誰も不審に思わなかったんでしょうかねぇ?

 「移民の歌」は1970年にリリースされた、彼らの3枚目のアルバム『レッド・ツェッペリンⅢ』のオープニング・ナンバーです。日本では1971年の初来日公演のオープニングの曲として使われて以来、一度聞いたら忘れられないギター・リフと冒頭の雄叫びが人気となり、日本ではシングル・カットされました。新日本プロレスのプロレスラー 、ブルーザー・ブロディの入場テーマ曲として使われたこともありました。オリジナルでは曲が始まる直前に低いリズムが聞こえますが、『リマスターズ』収録のテイクでは消されています。

 ツェッペリンの凄さはライヴにあります(この点でスタジオワークの凄さが際だつビートルズとは大きく違うところ)。オフィシャルでは『BBCライウ』に71年4月1日のロンドン公演(パリス・シアター)が、『伝説のライヴ』には1972年6月27日のカリフォルニア州ロング・ビーチ・アリーナ公演がそれぞれ収録されています。ギター・ソロは『BBC』の方がいいと思いますが、『伝説』の方には♪drive our ships to new lands~のあとにギターが2拍はいっていて、一度これを聴くと「はいってないともの足らない」感じにとらわれてしまいます。いずれにせよ、「移民の歌」→間髪を入れず「ハートブレイカー」というツェッペリン史上屈指のカッコいい流れを堪能できるライウです。しかしながら、『BBC』の方は、「移民の歌」が始まる直前のロバートの語りやドラムのカウントがカットされており、かなり痛い。曲が始まる直前のただならぬ緊張感がイイのに!語りの部分では、最近の活動について?語っている模様。

 オープニング「移民の歌」→間髪を入れず「ハートブレイカー」という流れは、70年9月4日のロサンゼルスでも披露されいますが、これも良い演奏です。「ハートブレイカー」の演奏も素晴らしい。ツェッペリンのパワーが全開だったのは、70年から71年にかけてと言っても過言ではないでしょう。ただし個人的には『フィジカル・グラフィティ』が大好きなので、まったりとした75・77年のステージの方が好みですが。

 「移民の歌」は71年の初来日公演のオープニング・ナンバーでした。初来日公演で私が耳にしたのは初日の9月23日(武道館)と最終日9月29日(大阪フェスティバルホール)です。武道館では1曲目から会場がすでに興奮の坩堝と化している様子が伝わってきます。2拍のギターリフも入っていますが、気合いの入りすぎたジミーが「移民の歌」でギターの弦を切ってしまったというのは有名な話。ジミーがギターの弦を張り替えるため次の「ハートブレイカー」にはいることができず、ロバートが語りでつないだそうですが、残念ながら私が聴いた音源にはその部分は収録されていませんでした。大阪公演は全編素晴らしい演奏.....なんだけど、私が聴いた音源は「移民の歌」で音飛びが(T_T)......ギターソロが秀逸だし「ハートブレイカー」へのつながりも完璧なだけに残念でした。  「移民の歌」は72年の来日公演でも演奏されましたが、この曲のイントロが始まると観客は大いに沸きます。ただしいずれの公演もアンコール、ステージ終盤での演奏だったため、ロバートが疲れた感じです。私が耳にしたのは初日の10月2日(武道館)、10月9日(大阪フェスティバルホール)、そして最終日の10月10日(京都会館)の三公演ですが、特に京都は声が途切れる箇所さえあり、曲の終盤ではキーを落として歌っています。

 2年生の授業で年内最後の授業の日に、この「移民の歌」流そうと思ってのたですが、CDを忘れるという失敗をしてしまいました。このクラスは結構早く進んでいるので、アフリカの歴史の部分で、フェラ・クティの「ゾンビ」とトーキング・ヘッズの「ヒート・ゴーズ・オン (ボーン・アンダー・パンチズ)」を聴かせ、アフロ・ビートについて語ったりしたこともあります。トーキング・ヘッズの『リメイン・イン・ライト』の日本語ライナーに「原始と原子の融合」みたいなことが書いてあって、原始に「アフリカ」、原子に「アメリカ」というルビがふってあります。アフリカ=原始というあたり、書いた本人はイケてるつもりなんでしょうが、レベルの低さを露呈しているとしか思えません。

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