藤本ひとみ『ブルボンの封印』 [歴史関係の本(小説)]
17世紀のフランス。ルイ13世が臨終の際に「必ずイングランドに届けるように」と言い残した人物は、ブルボン朝の根幹を揺るがしかねない、封印されるべき爆弾だった。
昨年末紀伊国屋書店光の森店に行った折、店頭でみて買って帰った本。かなり長い小説でした。
ディカプリオ主演の映画『仮面の男』や、佐藤賢一の小説『二人のガスコン』とネタ的に同じの上、半分くらい読んだところでジェームズ・ラ・クローシュとマリエール・ボスの出自も予想がついてしまうので、「こりゃ失敗したな」と思ったのですが、かなり面白い作品。女性の心理描写が巧いからでしょうね。ラストは予想とかなり違ってました。歴史サスペンス・ラヴ・ロマンスってところでしょうか。佐藤賢一のヴァイオレンスな部分が苦手な人には、いい作品だと思います。でも、この時代のフランスのことを知っておかないと、少々わかりづらいかも。
世界史の教科書には、チャールズ2世がフランスに亡命していたことは出てきますが、彼の生母アンリエッタ・マリアがフランス王ルイ13世の妹(つまりアンリ4世とカトリーヌ・ド・メディシスの間に生まれた娘)だったとは知りませんでした(つまりフランス王ルイ14世とイングランド王チャールズ2世とは従兄弟どうしということになる)。漫画化され、宝塚歌劇団によって舞台化もされたようです。
紅白でZARDの特集があってましたが、「負けないで」の作曲は、有能なメロディ・メーカーである織田哲郎。彼が核戦争の恐怖を歌った「2001年」は素晴らしい名曲で、高校時代にこの曲を聴いた私は本当に感動したものです。
ジャスコにて、1000円で買った福袋の中身。
ブルボンの封印 上 (集英社文庫 ふ 14-8) (集英社文庫 ふ 14-8)
- 作者: 藤本 ひとみ
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2007/12/14
- メディア: 文庫
ブルボンの封印 下(集英社文庫 ふ 14-9) (集英社文庫 ふ 14-9)
- 作者: 藤本 ひとみ
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2007/12/14
- メディア: 文庫
いつも拝見させていただいております。
ステュアート王家とブルボン王家についてですが、友清理士「イギリス革命史(上・下)」に両王家の合わさった系図があります。
この両王家の関係はなかなか面白く、その系図を使って、ピューリタン革命と名誉革命についての授業を行いました。系図があると、説明がしやすくて助かります。
教科書や資料集に、この両王家の関係が掲載されていると助かるのですが。百年戦争時のプランタジネット家とヴァロワ家の関係については載っているのに、おかしいですね。
長々と書き込んでしまいました。すみません。
by MagiBlog! (2008-01-03 20:46)
Magiblog!さん、私もいつも参考にさせてもらってます。特に本の情報は、いつも勉強させてもらってます。イギリス王家関係で私がいつも参照しているのは森護氏の『英国王室史話』で、同所にはアンリエッタのことはかなり詳しく書かれていましたが、ルイ14世とチャールズ2世の関係までは書かれていなかったように思います。17世紀のヨーロッパにおける国際関係を教える際に、英蘭仏三国の関係を見ることは極めて重要ですので、Magiblog!さんがおっしゃる通り、せめて資料集にステュアート・ブルボン両王家をあわせた系図があると便利ですね。ついでにオランダまで加えると面白いでしょうが、ゴチャゴチャしすぎますかねぇ?「イギリス革命史」は、今度ぜひ読んでみたいと思います。
by zep (2008-01-04 09:27)