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『娼婦ベロニカ』(マーシャル・ハースコヴィッツ監督、1998年、アメリカ) [歴史映画]

 16世紀末のヴェネツィアを舞台に、コーティザン(courtesan 高級娼婦)として生きるベロニカの姿を、当時の政治や社会を反映させながら描いた作品。原題は「A Destiny of Her Own」。邦題は誤解を受けそうなタイトルになってますが、公民科T先生の紹介で見てみたところ、楽しめる歴史ラヴ・ロマンスでした。当時の社会や風俗の再現も、よく出来ています。
 主演のベロニカ役は、メル・ギブソンの『ブレイブ・ハート』で、主人公ウォレスの妻を演じたキャサリン・マコーマック、ベロニカの恋人マルコ役は、『ロック・ユー』で、故ヒース・レジャー扮するウィリムのライバル、アダマーを演じたルーファス・シーウェル。脇役陣も演技派が多く、特にベロニカにコーティザンとしての「英才教育」を行う母親役のジャクリーン・ビセットの円熟した演技が素晴らしい。
 映画に出てくるフランス王アンリは、ヴァロワ朝最後の仏王アンリ3世。メティチ家出身のカトリーヌ・ド・メディシスの子で、ナントの勅令で有名なブルボン朝初代のアンリ4世と争った人物です。ユグノー戦争中の国王としても有名。
 映画の中で、オスマン帝国の艦隊がキプロス島周辺に出現という話が出てきます。キプロス島は1489年以後ヴェネツィア共和国領となりましたが、1571年にオスマン帝国に占領されますので、この映画の部隊となった1580年代はオスマン帝国の支配下にあったはず(この占領がレパントの海戦よりも後であることからも、レパントの海戦後もオスマン帝国が地中海の制海権を握っていたことがわかります)。映画『キングダム・オブ・ヘブン』に出てくるイェルサレム王ギイ・ド・リュジニャンがキプロスの統治権を保持していた時期もあります。


【解説】
 キネ旬DB
 公式サイト
 シネマトピックコム

実在の女性詩人ベロニカ・フランコについて(Wikipedia 英語)[http://en.wikipedia.org/wiki/Veronica_Franco]
コーティザンについて(Wikipedia 英語)[http://en.wikipedia.org/wiki/Courtesan]


娼婦ベロニカ

娼婦ベロニカ

  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • メディア: DVD



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