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今年の東京大学の問題(世界史 第1問) [大学受験]

先月16日に右目の網膜剥離のため入院、18日に手術をしました。
そのためずっと学校を休んでいましたが、やっと来週の月曜日から復帰できることになりました。
授業はもとより定期テスト、成績算出、高校入試と超多忙な時期に休んでしまい、
各方面に多大な迷惑をかけてしまいました。
まったく申し訳ないことです。
世界史担当の先生方はじめ、本当に暖かく励ましていただき、ありがたい限りでした。

私は小学3年生のときに右目を、高校3年と大学1年の時に左目の手術をしましたが、
高校3年のときは、退院したのが共通一次試験(今のセンター試験)の
2週間だったので、出願後ではありましたが特別措置を申請しました。
その結果、文字が大きな(タテヨコそれぞれ1.4倍に拡大されており、面積的には一般の問題に比べて約2倍の大きさ)問題冊子と、記述式解答用紙(解答用紙にはマークではなく自分で番号を記入していく)を使って受けることができました。
私一人だけの別室での受験でしたが、監督の先生が二人つかれました。
監督の先生方をはじめ、大学の職員の方々には色々と気を使ってもらったことを今でも思い出します。

以前はバックルという手術方法で、手術時の麻酔が覚めたあとすごく痛く、
かなり長い間動けなかったのですが、
今回は手術後の痛みや腫れがほとんどなく、とても楽でした。
硝子体手術という術式だそうで、昔はなかった方法だとのこと。
医学の進歩にも感謝することしきりでした。


やっと今年の入試問題を見ることができました。

東大の第1問です。

次の文章は日本国憲法第二十条である。
第二十条 信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
2. 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
3. 国およびその機関は、宗教教育その他いかなる宗教活動もしてはならない。


 この条文に見られるような政治と宗教の関係についての考えは、18世紀後半以降、アメリカやフランスにおける革命を経て、しだいに世界の多くの国々で力をもつようになった。

 それ以前の時期、世界各地の政治権力は、その支配領域内の宗教・宗派とそれらに属する人々をどのように取り扱っていたか。18世紀前半までの西ヨーロッパ、西アジア、東アジアにおける具体的な実例を挙げ、この3つの地域の特徴を比較して、解答欄(イ)に20行以内で論じなさい。その際に、次の7つの語句を必ず一度は用い、その語句に下線を付しなさい。

  ジズヤ    首長法    ダライ=ラマ    ナントの王令廃止

  ミッレト   理藩院     領邦教会制




 最後のパラグラフに問題の本質的な問いがある点は之まで通り。ただこれまでリード文の前半は解答に際しての何らかのサジェスチョンなりヒントなりがあったのですが、今年は解答に直接関係するものではありませんでした。しかし日本国憲法の条文がリード文にある理由が分かった人は、よい答案ができたのではないでしょうか?「今でこそ日本国憲法に見られるような政教分離の原則が実現しているが、市民革命以前は政治と宗教は密接な関係があった。とはいえ市民革命以前であっても、両者の関係は地域によってそのありかたが異なっていた。どう違っていたか説明せよ」というのが出題者の意図でしょう。

 まず考えるのは、「いつから書き始めるか」という点でしょう。「18世紀前半まで」という指定はありますが、スタートの時期は書いてありません。これは指定語句から判断するに、「具体的な実例」としてヨーロッパは絶対主義時代、西アジアはオスマン朝時代、東アジアは清代ということでいいと思います。

 大手予備校3社の解答例を見せてもらいました。気をつけたいのは「特徴を比較して」という要求ですが、それが一番わかりやすかったのはY。「政治権力により個人の信仰の自由は保障されなかったヨーロッパ絶対主義国家」「納税を条件に個人の信仰に関しては比較的寛大で、共同体別に自治を認めたオスマン帝国」「信仰には介入せず寛容な宗教政策をとり、現地の宗教指導者を介した自治を認めたこともある清」という政治の宗教に対する締め付けが強い順に「ヨーロッパ>西アジア>東アジアという点がよくわかります。

 2番目はK。悪くはないですが、西アジアと東アジアを一括りにしている点が気になります(Zのブログも西アジアと東アジアを一括りにしていますが)。「特徴を比較」なのですから、西アジアと東アジア両者の違いも見つけないと、それぞれの「特徴」を指摘したことにならないでしょう。そもそもイスラーム世界においては、完全な宗教分離を実現することは現実的に無理な話です(今日のトルコの政教分離は、日本国憲法に見られるような政教分離ではない)。その意味からも、西アジアと東アジアをまとめて「どちらも宗教的に寛容な政策をとった」とするのはかなり乱暴な気がします。

 一番まずいのはS。どれが「特徴」で、どこが「比較」しているのかがよく分からない解答例です。「史実のみを書いても、それが要求にそった答案になってなければ点数につながらない」という解答例です。指定語句「領邦教会制」は、Yのように「個人の信仰の自由は認められなかった」というネガティヴな意味で使うべきであり、「領邦君主や都市にのみ、宗派の選択権が認められた」というポジティヴともとれる使い方をすべきではないと思います。それに「ワッハーブ派」に触れている理由は何なのでしょうか?

 「特徴」を「比較」という要求ですから、「比較」および「特徴」型の問題の書き方を解説している中谷臣『世界史論述練習帳』(旺文社)をしっかりやっていた人は、うまく書けたのではないでしょうかね。




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凡山

先生~!前期終わっても合格発表終わっても更新が無いからどうしたのかと思ってたら…網膜剥離とは(xДx;)治って良かったですね(^o^)ノ最新医学素晴らしい☆

友人に唆されてなんと26日に問題見ちゃいましたー懐かしさと頭の衰えに対する悲しさで複雑な気分になりました(*_*;とりあえず理藩院て何ですっけ(^q^)??←
by 凡山 (2009-03-15 23:22) 

zep

おかげで仕事に復帰しました。昨日から出勤しましたが、昨日は授業がなかったので、実質的には今日から授業です。

それにしてもあれから一年とは、早いものですね。凡山さんたちの西小会議室のメンバーからは、今年文Ⅰに合格した人がいました。十数人から東大合格4人とはすごいですね。世界史係だったコは、お茶の水に合格したそうです。よかった!

理藩院は清で自治を認められていた藩部を管理する官庁だよ。
by zep (2009-03-17 20:40) 

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