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『ワイルド・スワン』ユン・チアン [歴史関係の本(小説)]

『マオ―誰も知らなかった毛沢東』の著者が1991年に発表したベストセラー小説(日本語版は93年)。作者のユン・チアンと彼女の母、そして祖母の三人の女性を通して中国近現代史を描くノンフィクション小説です。

 分量が多く、読むのにかなりの時間がかかりますが、それだけの価値はある面白い小説。大躍進や文化大革命といった世界史の教科書ではほんの数行ですんでしまう事項が「庶民レベルではいったい何が起こっていたのか」を知る上で絶好の本だと思います。また歴史の専門書とは異なり、庶民は何を思いどう行動していたかを知るうえでもたいへん興味深い本です。しかもその内容がかなりエグくて(小説という点は考慮する必要があるかもしれませんが)、特に作者自身が実体験した文革時代に関しては、階級敵人とされた人々がどんな目にあっていたか生々しく描写されています。一方で、混乱した社会の中で、少しでも楽しみを見いだそうとする感覚もまた共感できます。毛沢東に対する厳しい筆致は、後の『マオ』を予感させるに十分でしょう。狂った社会の中でどう生きるか、高校時代に読んで欲しい本の一つ。

 纏足の足をつくる方法の詳しい説明は、かなりリアルです。

 中国では、お葬式を出来る限り盛大に執り行うのがよいとされているようですが、この点『おくりびと』に見られる日本的な「シンプルさ(貧しさ)の美」とは極めて対照的な感じがします。

 現行版は増補改訂されているようです。

ユン・チアン来日インタビュー(読売Online 2005年)
http://www.yomiuri.co.jp/book/news/20051207bk08.htm





ワイルド・スワン〈上〉 (講談社文庫)

ワイルド・スワン〈上〉 (講談社文庫)

  • 作者: ユン チアン
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2007/03
  • メディア: 文庫



ワイルド・スワン〈中〉 (講談社文庫)

ワイルド・スワン〈中〉 (講談社文庫)

  • 作者: ユン チアン
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1998/02
  • メディア: 文庫



ワイルド・スワン〈下〉 (講談社文庫)

ワイルド・スワン〈下〉 (講談社文庫)

  • 作者: ユン チアン
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1998/02
  • メディア: 文庫



マオ―誰も知らなかった毛沢東 上

マオ―誰も知らなかった毛沢東 上

  • 作者: ユン チアン
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2005/11/18
  • メディア: 単行本



マオ―誰も知らなかった毛沢東 下

マオ―誰も知らなかった毛沢東 下

  • 作者: ユン チアン
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2005/11/18
  • メディア: 単行本



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コメント 10

凡山

前から思ってたんですけど、先生ってどんなスピードで本読んでるんですか(^_^;)お忙しいからそんなに時間有るようにも思えないんですけど・・・(?_?)
世界史係さんの合格は本人から報告がありました~!!今年は東京でいっぱい遊べそうです(*^▽^)さてしかし西小会議室の文Ⅰ君は誰でしょう・・・??でももうすぐ駒場で会えますね多分!そしたらご報告します(笑)
by 凡山 (2009-03-25 02:38) 

zep

本は、「ちょっとした空き時間」に読むことが多いです。文Ⅰに合格したのは、男子の卒業生です。学生生活エンジョイしてください。私は4月から別の学校の教壇に立つことになりました。
by zep (2009-03-26 21:47) 

凡山

ええぇぇぇ(゚Д゚;)!?!?!?ぇ、遠いんですか!?
てかじゃあこの春ちゃんと熊本帰ってご挨拶に行けばよかったです(´;ω;`)今更後悔(´;д;)
どんどん知る先生が減ってしまいますね…

このブログは続けられるんですよね(´・ω・`)??
by 凡山 (2009-03-27 19:09) 

zep

熊本北高校なので遠くないです。ウチが菊池市泗水街なので、通勤時間はかなり短くなります。ブログは出来る限り続けていきます。東京の皆さんによろしく伝えてください。
by zep (2009-03-27 22:24) 

凡山

北高ですかΣ(゚□゚)でもとりあえず熊高のケロロや数々の漫画はお引っ越しですね(´∇`)゙
北高でも世界史グッズを多様した授業で楽しんでください(笑)
東京メンツに会ったら伝えときます(`-´)ゞ
by 凡山 (2009-03-28 22:40) 

zep

昨日の転退任式では、私が授業でケロロ軍曹のことを語っていたことが印象に残っていると言ってました(笑)。北高では社会科準備室ではなく職員室にいることになりそうなので、フィギュア類は学校に置けそうにないですね。

ケロロや予餞会の映画で使ったスターウォーズのフィギュアを卒業アルバムのグループ写真を撮った諸君もいました。私はエンフィールドライフルを持って一緒に写りましたが、よい思い出になりました。
by zep (2009-03-31 16:22) 

凡山

一昨日学校でOくんやTくんを見かけました。西小会議室の彼は4室のTくんだったんですね(*゚∀゚)!!
by 凡山 (2009-04-12 11:33) 

zep

東大のキャンパスでTくんに会ったようですね。皆さんによろしく伝えてください。北高は今「面接週間」で45分授業なのですが、なかなか慣れません(笑)。
by zep (2009-04-18 11:50) 

凡山

面接期間…(゚∀゚)??45分は65分に慣れるとあっという間でしょうね(^_^;)
by 凡山 (2009-04-19 18:20) 

zep

熊高では昼休み&放課後、時には朝などに面接をしてましたが、北高では余裕をもって面接できるように、「面接週間」では1限~5限が45分授業で6時間目の75分間が面接の時間として確保されています。北高は5月が体育大会で、放課後は練習で忙しいため、こうでもしないと時間が確保できないのです。それにしても45分はあっという間。熊高では短縮授業でも55分でしたからね。
by zep (2009-04-28 20:23) 

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