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新しいローマ教皇と「小さな奇蹟」 [幻想文学]

新しく即位されたローマ教皇(法王)は、ホルヘ・マリオ・ベルゴリオ枢機卿。
イエズス会出身。
「ホルヘ(英語のジョージ)」という名前、同じくアルゼンチン出身の作家のボルヘスや、映画『薔薇の名前』に登場する同名の図書館長(ボルヘスがモデル)を思い出す。
教皇としてはフランチェスコ1世。
アッシジの聖フランチェスコにちなむ名前だという。
あれほど有名な聖フランチェスコに由来する名を使った教皇がこれまでいなかったということも驚きだが、今の世界にふさわしい名前のような気がする。

アッシジの聖フランチェスコというと思い出すのが、ジオットの絵。
そしてポール・ギャリコの短編集『スノーグース』に収録されている愛すべき小品「小さな奇蹟」。
ポール・ギャリコの代表作というと表題作の「スノーグース」なんだけれど、「小さな奇蹟」も味わい深い名品。

主人公は第二次世界大戦で孤児となった10歳の少年ペピーノ。彼は、ろばのヴィオレッタとともに暮らしていたが、ある日ヴィオレッタが病気になってしまう。思い詰めたペピーノがとった行動とは....

「不滅の少女」、故矢川澄子さんの名訳も素晴らしい。
舞台が1950年代のイタリアなので、聖フランチェスコ自身はもちろん登場しないのだけど、聖フランチェスコの存在があってこそ生まれた作品と言える。

新しい教皇フランチェスコ1世は、クリオーリョ(スペイン人を祖先に持つラテンアメリカ生まれの白人)ではない。イタリア系移民の子孫である。
イタリアからアルゼンチンへ!
そう、「母を訪ねて三千里」。
40歳以上の方の中には、マルコ少年とお猿のアメデオ、「♪さあ、出発だ~」というテーマソングを覚えている方も多いだろう。
(このアニメにも、「小さな奇蹟」の主人公と同じペピーノ(アニメでは「ペッピーノ」)という名のキャラクターが出てくる。)

保守的なカトリックは、ややもすると独裁者と結びつく傾向がある。
独裁者ペロンの負の遺産とも言える「汚い戦争」に、カトリック教会が荷担したという指摘もある。

私はクリスチャンではないが、教皇として日本を初めて訪れたヨハネ=パウロ2世を尊敬している。
先代のベネディクト16世には、あまりよい印象を持てなかった。
新しい教皇は、ヨハネ=パウロ2世のような「優しさを感じさせる人物」であることを期待したい。



スノーグース (新潮文庫)

スノーグース (新潮文庫)

  • 作者: ポール ギャリコ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1996/12/24
  • メディア: 文庫



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コメント 4

サンフランシスコ人

「先代のベネディクト16世には、あまりよい印象を持てなかった...」

米国のカトリック信者も、よい印象を持てなかったでした...


by サンフランシスコ人 (2018-01-05 09:05) 

zep

いまのフランシスコ教皇も、私はとても尊敬しています。
先日の「焼き場に立つ少年」のカードの件や、ロヒンギャ問題に対する姿勢、その一方で、若い頃バーの用心棒やってたとか、「もしもしローマ教皇ですが」という電話をかけたり....。本当に和ませてくれます。
by zep (2018-01-05 21:20) 

サンフランシスコ人

2016年4月の熊本地震のすぐ後に、サンフランシスコのカトリック教会で、主の祈りがあったみたいですよ....
by サンフランシスコ人 (2018-01-11 03:55) 

zep

先日テレビで米国における「キリスト教福音派」について特集があってました。よくわからなかったのが「福音派はカトリックなのかプロテスタントなのか」という点でした。
by zep (2018-01-28 17:25) 

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