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『クロムウェル』(ケン・ヒューズ監督、1970年、イギリス) [歴史映画]

 たまたまヤフオクで見つけて購入したこの映画、意外な当たり。クロムウェル役は故リチャード・ハリス、一方処刑されるチャールズ1世は故アレック・ギネスという豪華な組み合わせ。リチャード・ハリスは『グラディエーター』(2000年)でマルクス・アウレリウス・アントニヌス帝を、また『ハリー・ポッター』シリーズの初期2作ではダンブルドア校長を演じた俳優であり、アレック・ギネスは『スター・ウォーズ』のオビ・ワン=ケノービ。つまり「魔法学校の校長にして哲人皇帝と、ジェダイ・マスターが対峙する」という、なんともマニア受けする映画だ。
 チャールズ1世の甥でルパートという人物が出てくる。演じているのは、4代目007ジェームズ・ボンドのティモシー・ダルトンで、このルパートがけっこう活躍するので調べてみたところ、なかなか興味深い人物である。彼は映画の中で「パラタイン伯」と呼ばれているが、Palatinateはドイツのプファルツ(ファルツ)のこと。母親はチャールズ1世の姉エリザベスで、父親がプファルツ選帝侯であった。ルパートの妹ゾフィーはハノーヴァー選帝侯妃となり、のちのイギリス・ハノーヴァー朝初代ジョージ1世を生むことから、ルパートはジョージ1世の伯父という関係になる。

 クロムウェルの苦悩する部分が強調されており、かなり好意的に描かれているが、一方でチャールズ1世も、処刑の際の堂々とした態度などこちらも好意的。処刑のシーンは、山川出版社の『世界史写真集』とほぼ同じなので、この部分を授業では使った。
 一番の見所は、エッジヒルの戦い(映画中では議会側敗北として描かれているが、実際は引き分け)→クロムウェルによる鉄騎隊創設→ネーズビーの戦いという流れで描かれてる迫力ある戦闘シーン。同じく17世紀の三十年戦争を描いた『アラトリステ』における戦闘シーンを大きく凌ぐスケール。『アラトリステ』の三十年戦同様、長槍(pike)の部隊が主力である。
 17世紀の議会の様子も、なかなか興味深い。ヨアン・グリフィス&ベネディクト・カンパーバッチの『アメイジング・グレイス』で見られる18世紀末のイギリス議会では、多くの議員が銀色の髪のカツラを着用しているが、『クロムウェル』で描かれている17世紀のイギリス議会では、議員の多くが黒い帽子と黒いコートを着用してる。

 古い映画なので、日本語吹き替えと英語字幕がないのが残念。



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