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明治図書『教育科学 社会科教育』2019年9月号 [授業研究・分析]

 以前は?な記事もあった明治図書発行の教育雑誌『社会科教育』。『社会科教育』に限らず、『現代教育科学』や『ツーウェイ』など(ともに今は廃刊となっているようだ)1990年代後半に明治図書から出ていた雑誌を読み直してみると、色々な意味で面白い。当時『社会科教育』の編集長だった方のブログでお叱りを受けたことも、今ではそれなりによき思い出だ。
 さて、『社会科教育』9月号の特集は「近現代史と政治 授業づくりパーフェクトガイド」である。それぞれに興味深い記事が並んでいた。

(1)「昭和初期の社会の様子と探究型学習」
 写真をメインとしているが、看図アプローチのように写真そのものを看て考えるデザインとはなっておらず、考察の結果として写真を選ぶのが社会科的だ。8枚のうち2枚はダミー。

(2)「エピソードから教材へ」
 歴史の授業を担当する教員なら、同感という部分が多い。ただエピソード解釈の妥当性には注意を要するかも。ヒトラーが結婚資金を貸し付けたの理由が少子化対策?Volks Wagenを英語に訳すと、People's Carでよいのかな。こうした疑問も教材化できそう。

(3)授業改革と連動した高校歴史「調査・体験活動」プラン 
 連載「歴史探究ミニツアー」とも相まって、フィールドワークはやってみたい。熊本県の大先輩の世界史の先生が、かつて日露戦争の出征者について調べていたことがあったし、熊本市内のある高校には宮崎滔天とともに孫文が来たときの講演記録が残っている。15㌻掲載の表中「湊川神社・大倉山公園」(日清・日露戦争)は、この3年間ダンス部の引率で毎年行っている神戸文化ホールの近く。

(4) 「この人物」お宝授業ネタ&エピソード
 33㌻「お宝授業ネタ&エピソードを発見する方法」が面白い。

(5)教えるのが難しい「領土」授業でどう扱うか
 視点の提供。

(6)歴史の当事者となって「自分なら」を考える授業を!
「あなたが幕府の役人だったら、開国に賛成しますか?反対しますか?」という問いが紹介されているが、思い出したのが先日関西の先生方と話したときに話題となった授業。滋賀県立守山高校の大橋康一先生が行った「老中は知っていた オランダ風説書と黒船来航~江戸幕府は何をわかって開国を決意したのか~」という世界史Aの公開授業である。タイトルから分かるとおり歴史総合を念頭に置いた授業で、「あなた方が1853年に開国を決断した理由は何ですか」という問いをオランダ風説書をもとに考察する。生徒の反応も含めた授業記録をいただいたが、生徒が考えた開国の理由について、2時間目と10時間目の変化が興味深い。2時限目は、江戸幕府が開国した理由について、ほとんどの生徒(93.5%)が黒船の武力に屈したと考えていたが、同時代の世界史を学習し、風説書の内容が理解できた後では、軍事面を挙げた生徒が激減している(13%)。歴史総合「近代化とわたしたち」のお手本のような授業。



社会科教育 2019年 09月号

社会科教育 2019年 09月号

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 明治図書出版
  • 発売日: 2019/08/10
  • メディア: 雑誌



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