アメリカの紙幣 [モノ教材(貨幣)]
アメリカの紙幣。上から5ドル(リンカン)、20ドル(ジャクソン)、50ドル(グラント)。
ただし、このうちグラントの50ドルは本物ではありません。透かしもはいってますし、裏もしっかり印刷されているので、一見すると本物と見分けがつきません(下は注意書きの部分の拡大)。映画撮影用につくられたもので、Yahoo!のオークションで1357円でした。普通は「Specimen」という文字が大きく印刷されているなどしているのですが。その意味でもレアかも。
エジプトのコイン [モノ教材(貨幣)]
エジプトの1ポンドと50ピアストル。それぞれツタンカーメンとクレオパトラがデザインされたもの。Yahoo!のオークションで2枚650円でした。
ツタンカーメンの秘宝 ~復元☆カーター発掘隊~ (講談社トレジャーBOX)
- 作者: J.
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/11/27
- メディア: 大型本
貿易銀 [モノ教材(貨幣)]
東京書籍の教科書『世界史B』には、「銀・ドル・円」というコラムがあります(221ページ;書き出しがどこかで見た文章.....)。「世界中の銀の価格が等しくなった」ということで、日本の貿易銀、メキシコドル、イギリスドル、サイゴンドルを見せてすべて同じ大きさ・重さであることを理解させれば、銀による世界の一体化を実感させることができるでしょう。教科書の写真は原寸大なので、大きさを比べさせてもいいかも。銀による世界の一体化については、図説が帝国の『タペストリー』にあります。
Wikipediaには「現在でもフランス語では、お金を指して「銀」(アルジャン、argent)と言い、日本語でも銀行、路銀などの言葉で、「銀」にお金の意味を持たせている。」とありますが、南米のアルゼンチンは、国名自体がが「銀」を示しています。
東京書籍の教科書の記述によれば、英語のドルの語源は、16世紀のドイツ銀貨ターレルが訛ったものだとか。なおダラーマーク($)の由来について、山川の『世界史用語集』では「ソリドゥス金貨」が由来とありますが(「ノミスマ金貨」の項目)、Wikipediaには別の説が紹介されています。
日本の貿易銀は、レプリカがYahoo!のオークションに多数出回っています。「参考品」といのがそれ。私が買ったのは、8枚で1000円でした。他の貿易銀も、1枚1000~3000円だったので、多分ニセモノでしょう。「日本銀」は800円でした(笑)。イギリス貿易銀には漢字その他の文字も刻まれています。
イギリス貿易銀に刻まれたブリタニアとフランスピアストル銀貨(サイゴンドル)のマリアンヌにも注目させたいところ。メキシコ貿易銀には、現在メキシコの国旗にも描かれているアステカ由来の国章「鷲が蛇をくわえている図」が描かれています(教科書の図の反対側です)。
教科書に写真が掲載されているメキシコドルに描かれた図柄には、「LIBERTAD」という文字が読み取れます。
小田中先生のブログで『歴史学と歴史教育の構図』という興味をひかれるタイトルの本が東大出版会より出ているのを発見。でも値段が¥ 7,560 。ちょっと手が出ませんなぁ。
ルイ=フィリップのコイン [モノ教材(貨幣)]
七月革命でフランス王に即位した、オルレアン公ルイ=フィリップのコイン(小田中先生によると、ルイ=フィリップ1世と「1世」をつけるのが正しいらしい)。右側の銅貨は1839年、左の銀貨は1847年の発行。いずれもYahoo!オークションで、2100円と2200円でした。正面から見ると、顔が「洋梨」に似ているという王様です。
ルイ=フィリップは、今なお存続しているフランス外人部隊の創設を認可した国王でもあります。2005年、イギリスの民間警備会社に勤務していた日本人がイラクで殺害され、この人がかつてフランス外人部隊に所属していたというニュースは記憶に新しいところです。フランス外人部隊ということで、小田中先生の「バック・トゥ・ザ・フューチャー」では、8月8日付けの記事で「フランス人が外人部隊に入隊する場合、フランスとは別の国籍を自称しなきゃならないのはなぜか」という問題が出ております。本日13日付けの記事ではすでに答えが掲載されていますが、「徴兵制に関係するのではないか」という私の直感は、かなりイイ線をいっていたのではないかという自画自賛。
東大の2006年の第1問に、次のような問題が出題されました。
第1問
近代以降のヨーロッパでは主権国家が誕生し,民主主義が成長した反面,各地で戦争が多発するという一見矛盾した傾向が見られた。それは,国内社会の民主化が国民意識の高揚をもたらし,対外戦争を支える国内的基盤を強化したためであった。他方,国際法を制定したり,国際機関を設立することによって戦争の勃発を防ぐ努力もなされた。
このように戦争を助長したり,あるいは戦争を抑制したりする傾向が,三十年戦争,フランス革命戦争,第一次世界大戦という3つの時期にどのように現れたのかについて,解答欄(イ)に17行(510字)以内で説明しなさい。その際に,以下の8つの語句を必ず一度は用い,その語句の部分に下線を付しなさい。
ウェストファリア条約 『戦争と平和の法』 ナショナリズム 国際連盟
総力戦 平和に関する布告 十四ヵ条 徴兵制
最初「徴兵制」の語句をどこで使うか困ってしまったのですが、ここはフランス革命で徴兵制がはじめて採用されたことに言及するのがいちばん良い。つまり「フランス革命戦争期に現れた、戦争を助長しようとする傾向」ということ。
徴兵制は、教育と並ぶ国民統合の手段の一つ。「文化的要素を共有すると信じる人々の集団」の形成を促進します。したがって徴兵制にもとづいて編成される軍隊は、「フランス人=フランス国籍を持つ人々」によって編成される必要がある。したがって、「正規軍とはいえ、徴兵制に基づかない志願兵によって構成された外人部隊は、フランス人であってはならないから」、というのが私の予想でございました。ゲーテが、フランス軍がプロイセン軍を破ったヴァルミーの戦いをして「ここから、そしてこのときから世界の歴史の新しい時代が始まる」と評したのは、この徴兵制にもとづく国民軍という「進歩的な」軍隊が、「世界で二番目に古い職業」である傭兵(菊池良生『傭兵の二千年史』講談社現代新書)によって構成された軍隊を破ったから、というのも有名な話。死亡率が高い地域には非フランス人の部隊を派遣すべき、ということから外人部隊が生まれたという話がWikipediaに書いてありますが、これもも徴兵ではなく志願した職業兵士による部隊が編成される一因となったように思います。答えをトラックバックで寄せていた方によると、小田中先生の『フランス七つの謎』にもこの徴兵制の話は載っているようです。(小田中先生がウチの学校に来られたとき、名前入りの本をいただき、拝読したのですがすっかり忘れていました(クスクスの話は覚えてましたが)。
さて、今回は「なんでフランス人は『国防=権利』って考えるのか。ちなみにそのヒントは『最後の授業』」という問題。アテネなどの古代ギリシアのポリスにおける重装歩兵部隊も、「国防=権利」という考えに近いような気もしますね。
ドーデの「最後の授業」というと、僕はプロイセン=フランス戦争の話をするとき、いまだにとってある小学6年生のころの国語の教科書を教室に持って行っており、これをネタに1時間くらいは話ができそう。なんだけど、この話が「国防=権利」という考え方とどう結びつくのかというのは、わかりません。
田中克彦『ことばと国家』(岩波新書)によれば、アルザスはもともとドイツ語圏であったらしのですが(この事実が明らかになったことから、わが国の国語の教科書からは「最後の授業」が消えてしまった)、「文化的にはフランス」らしい。2006年の筑波大学の入試問題には、次のような問題が出題されています。
アルザス・ロレーヌ(エルザス・ロートリングン)地方は,地理的にはフランスとドイツの中間に位置し,言語的にはドイツ系であるが,文化的にはフランスヘの帰属意識が強い。鉱物資源が豊富であったため,フランスとドイツのあいだで抗争の原因ともなった。近世から現代までのアルザス・ロレーヌ地方をとりまく歴史を以下の語句を用いて述べなさい。
ウェストファリア条約 ビスマルク ブーランジェ将軍 フランス革命
ヨーロッパ石炭鉄鋼共同体
「文化的にフランスへの帰属意識が強い」ことになったのは、「フランス革命」の際に「徴兵制」その他の政策によってフランス国民意識をアルザスにも持ち込むことに成功したからでしょう。
ということで、私なりの一応の答えは「フランス人が国防を権利だと考えるのは、国防は自国の文化を護ることでもあると考えているから」。さて、どうでしょうか。
元の記事[http://wiredvision.jp/blog/odanaka/200708/200708130001.php]
消えた「最後の授業」―言葉・国家・教育 (国語教育ライブラリー)
- 作者: 府川 源一郎
- 出版社/メーカー: 大修館書店
- 発売日: 1992/07
- メディア: 単行本
満州国の硬貨と日本統治下の朝鮮の紙幣 [モノ教材(貨幣)]
1ドルの兌換紙幣 [モノ教材(貨幣)]
米1ドルの兌換紙幣です。ebayのオークションで3枚2.50ドル。総支払いは9.50ドルでしたが、書留でもないのに送料7ドルはちと高い。発行は1957年、商品名「THREE ONE DOLLAR SILVER CERTIFICATE IN FAIR CONDITION」ということで、コンディションはあまりよくありませんが、教材として使うのには十分だと思います。
フリードリヒ大王、シュタイン、ドン=キホーテ [モノ教材(貨幣)]
Yahoo!のオークションで、1枚990円で購入したコイン。一番上は、ナポレオン戦争のころプロイセンの改革を推進したシュタインをデザインした旧西ドイツの5マルク貨幣。没後150年記念として、1981年にカールスルへ造幣局で鋳造されたものです。真ん中は、プロイセン王国のフリードリヒ2世(大王)の旧西ドイツ5マルク貨幣。没後200年記念として、1986年にシュトットガルト造幣局で鋳造されました。一番下は、スペインの2ユーロ貨幣で、ドン=キホーテがデザインされています。 ユーロの加盟国は1年に一度だけ記念硬貨鋳造を行っており、これはドン=キホーテ出版400年を記念して2005年4月に発行されたものです(鋳造量800万枚)。
売り主はドイツに在住の方で、送られてきたドイツの封筒には、左のようなリサイクルマークがはいってました。
ケマル=アタテュルク [モノ教材(貨幣)]
トルコの政治が揺れています。 イスラム色の強い与党、公正発展党(AKP)に反発する世俗派市民らが大規模な反政府デモを行い、爆弾テロも起こっています。先月始まった大統領選ではAKPのギュル外相が当選確実と見られていました。しかし、政教分離が揺らぎかねないとする野党、共和人民党(CHP)が提出した選挙無効申し立てが裁判所に認められ、外相が立候補を取り下げたことなどから大統領選は中止になっています。もっとも、イスラーム教徒が多数をしめるトルコですから、われわれがイメージする政教分離とは少し異なるようです。このあたりの話は、トルコ革命の授業ネタとしても興味あるところ。
関連サイト[http://www.jp-tr.com/icerik/yazarlar/tulip/tulip0071.html]
この政教分離の原則を定めたのがアタテュルクこと、ムスタファ=ケマル(1881~1938)。現在でも、トルコの紙幣・貨幣・切手は、彼をデザインしたものがほとんど。いかに彼が国民から尊崇されているかがわかります。
清代の貨幣(その2) [モノ教材(貨幣)]
Yahoo!のオークションで50枚600円。乾隆通寶が中心。状態はあまりよくないですが、まとめて見せるには分量が多い方がいいので。以前状態のいいものを購入したときには、50枚で2700円でした。下の写真はその一部です。
以前、光緒通寶450グラムで1600円というのを紹介しましたが、清代の貨幣は時代が近いせいか、安価で入手できます。雍正は量が少ないように感じますが、在位が短かったためかもしれません。同じ康煕通寶でも、裏面は満州文字だけのもの、「河」「寧」「東」等の文字がはいっているものなど様々ですが、これは鋳造地による違いだそうです。
明代の銅銭 [モノ教材(貨幣)]
「洪武通宝」と「永楽通宝」。授業で使うなら、洪武帝とか永楽帝のように教科書にでてくる皇帝の名前がはいっている方がいいのは当然でしょう。Yahoo!のオークションで前者が210円、後者が870円でした。永楽通宝の方がこんなに高くなったのはなぜでしょうね。この前Yahoo!のオークションでは、永楽通宝の「銀製 打製 仰頭永」という貨幣が、1枚で113,000 円まで上がってました(スタートは80,000 円)。その一方で100円でも全然買い手がつかないときも。「魚尾宝」とか「波冠宝」「垂足宝」など、刻まれている「永」「宝」の字体で値段が違うようです。清代の銅銭はかなり安く買うことができたのですが。
永楽通宝は中国国内では流通せず、もっぱら海外との貿易用だったという話もあります。また日本で鋳造されたものも多く、永楽通宝はかなり奥が深いようです。日本史の教材としても使用できそうです。