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古い手紙 [モノ教材(紙モノ)]


 ebayで落札した古い手紙。1869年にフランスからスイスにあてて出されたものです。落札価格は4.50ドル、支払い総額は7ドルでした。
 この手紙、どこが興味深いかというと、まず貼られている切手がナポレオン3世です。消印は1869年8月14日で、翌1870年の7月に普仏戦争が始まり、セダン(スダン)の戦いは9月ですから、ナポレオン3世が退位する約1年前ということになります。次に興味深いのは消印。「AVIGNON」から投函されています。「教皇のバビロン捕囚」の時期に教皇庁があった南フランスの都市アヴィニョンです。その後8月16日のスイスのグラルス(GLARUS)やシュヴァンゲン(SCHWANGEN)などの消印が押されています。

 さらに興味深いのは、手紙の内容がそっくりそのまま残っていること。封筒の裏側に綺麗な文字で書かれています。が、あまりに達筆すぎて何と書いてあるやら......

 木曜日の選択世界史の時間に、2005年の首都大東京で出題された古代インド史の問題をやらせました。その中にあったのが、「アショーカ王の統治理念について、60字以内で記せ」という問題。簡単な問題だろう.....と思ったのですが、生徒が書いた答えはその多くが「統治理念」ではなく「征服方針」になっています。内容的に間違っているワケではないのですが、これは教科書(山川の『詳説世界史』)の記述「(アショーカ)王は、武力に訴える征服活動を放棄し、ダルマ(法、まもるべき社会倫理)による平和的征服をめざして各地に勅令を刻ませ.....」という記述をそのまま書き写したことによるものらしい。問題の要求に従って、せめて「征服」を「統治」と書き換えるくらいの工夫は欲しかったところです。でも教科書にある「平和的征服」って一体どういう征服なんでしょうか?どうもイメージがわきません。「征服」という言葉と「平和」という言葉は、私の中ではあまりスムーズに結びつかないのですが。Wikipediaのアショーカ王の項目にも「平和的征服」らしき話は出てきませんね。今度教科書会社の編集担当者に尋ねてみたいと思います。


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黒い堕天使改めクロ

平和的征服というと古代中国であるような善政をしいたことで周辺の異民族たちが服従して恩恵を受けようとしたなんてのを連想してしまいますね。
by 黒い堕天使改めクロ (2007-07-14 18:42) 

zep

ホラティウスによる「征服されたギリシア人は、猛きローマを征服した」という言葉はありますが、それは文化面での話。「征服」という場合は、征服する側から何らかのアプローチをすることが多いように思いますので、自発的に服属する場合に征服という言葉はあまりなじまないような気がしますが.......そもそも古代中国の話は、おそらく中華思想により誇張されたものだと思います。
by zep (2007-07-14 19:22) 

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