ジョイ・ディヴィジョンと映画「コントロール」 [音楽]
英語のK先生(3年9室担任)が、「『コントロール』を買いました」と言う。K先生、そんなものを買うとは若くないねぇ。『コントロール』とは、映画のサントラ盤。なのだけれど、熊本では上映される可能性が極めて低い映画で、イギリスのロック・バンド、ジョイ・ディヴィジョン(Joy Division)のリーダーだったイアン・カーティスの生涯を描いた作品。監督は、U2をはじめとするアーティストのアルバム・ジャケット写真で知られるアントン・コービン(彼の作品では、クラナドの『マカラ』というアルバム・ジャケットの写真が秀逸....なんだけど、現行盤のジャケット写真は変更になっているみたい)。映画のオフィシャル・サイト(http://www.controlthemovie.com/)を見たところ、イアン役の俳優さんは、かなり本人に似ている。映画のシーンで、壁にルー・リードの『トランスフォーマー』のジャケット写真が飾られているのが映っていた。
ジョイ・ディヴィジョンはポスト・パンク世代のいわゆる「ニュー・ウェーヴ」の中でも傑出して重要なグループだと思うけれど、残念ながら僕はリアル・タイムでは聴いていない(バウハウスはリアルタイムで聴いていたが)。イアン・カーティスが首つり(なんとも強い意志を感じさせる死に方)で自ら命を絶った後、残されたメンバーが結成したニュー・オーダーが大好きだったので、遡って聴いてみたというところ。バウハウスほどのソリッドさは感じなかったものの、暗い闇の底を覗き込むかのような暗い雰囲気には哲学的な深遠さを感じた。が、「Love Will Tear Us Apart」といった絶望的な歌詞の中に、小さな光に向かってひたすら暗闇の中を走り続けるかのような疾走感を感じたりもした。そして『STILL』に収録されている「セレモニー」(この曲はニュー・オーダーとなってからシングルになった)のライヴ・ヴァージョンを聴いたときのインパクトは忘れることができない強烈な体験として今でも忘れられない(確か大学の3年生くらいだったと思う)。最初PAの調子が悪いのかイアンのヴォーカルがほとんど聞き取れない。PAの調子が回復して始まったイアンのヴォーカルは、苛立ちを一気にぶつけるかのような攻撃的で、演奏もアグレッシヴなものだった。
K先生は『コントロール』をTSUTAYAで千数百円で買ったということだったが、AmazonではUK盤が3000円以上もする。というわけで買ったのは、『コンプリートBBCレコーディングス』。日本盤オビつきで1680円(Yahoo!オークション)。CD買ったのは久しぶりだ(若い頃は年間100枚以上買ったこともあった......で、買ったことを忘れて同じアルバムを何枚も買ってしまったことも少なくない)。買って気づいたのだが、以前買ったUK盤『The Peel Sessions』(WMD642201)と10曲のうち8曲は同じだった。ダブリでない2曲は、音質がよくない。
ニュー・オーダーはここ数年のライヴで「Love Will Tear Us Apart」などジョイ・ディヴィジョン時代の曲を演奏するようになっている。そこにはJD時代の暗さはまったく感じられない。現在の彼らが演奏するJDナンバーの方がしっくりくるようになっている僕は、それ相応に歳を重ねたということだろう。
DIRECTORS LABEL アントン・コービン BEST SELECTION
- 出版社/メーカー: 角川エンタテインメント
- 発売日: 2005/10/28
- メディア: DVD
- アーティスト: スペシャルズ, E.M.F., デペッシュ・モード, ソフト・セル, O.M.D., ゲイリー・ニューマン, ジョイ・ディビジョン, スミス, キャプテン・センシブル, ダイアー・ストレイツ, U2
- 出版社/メーカー: MSI
- 発売日: 1996/08/25
- メディア: CD
Martin Hannett's Personal Mixes
- アーティスト: Joy Division
- 出版社/メーカー: Interstate
- 発売日: 2007/05/07
- メディア: CD
はじめまして。「コントロール」公開まだ〜?と検索してたら!母校の先生がこのようなブログをやってらっしゃるとは驚きです。
熊本〜室で「もしや!?」と思いました。
しかもバウハウスをリアルタイムとは同世代ではないでしょうか。
当時はこのての音楽で共感できる友達は少なく(女生徒はなおさら)深く潜伏してウッドストック3Fに細々と憩いの場を見いだしてました。(進学上京でハジケましたが)昔は本当に情報の収集が大変でしたね。馬鹿高いNMEとか。
今は娘を洗脳してますw
ついろいろと懐かしくて図々しく書き込んでしまいました。失礼がありましたらお許しください...。江原会とはご無沙汰ですが、このブログはときどき覗かせて下さいね。
実は世界史で教育実習に来たことがあります。(西洋史専攻だったので。)
by オノウエプリント (2008-02-15 12:45)
はじめまして。卒業生の方ですか。私自身は熊高出身ではありませんが、多分オノウエプリントさんと同年代では.....と思います(1966年生まれで大学に入ったのは85年でした)。私はメジャーなアーティストも好きでしたので、潜伏という感じではなかったですが(笑)、阿蘇の田舎に住んでいたのでオルタナティヴなアーティストの情報は少なかったです。高校生まではラジオ日本の番組「サウンドプロセッサー」(大貫憲章氏と今泉恵子さんがDJ;お二人のサインをもらいました)、「全米トップ40」「全英トップ20」、雑誌『フールズ・メイト』などが情報源でした。NMEなんて見たこともありませんて(笑)。
バウハウスは来月に新譜がリリースされますね。タイトルは「
Go Away White 」でしたか?今は放置中ですが、かつてはこんなウェブサイト[http://www005.upp.so-net.ne.jp/zep/]もやってました。
ネットが普及したせいか、マツモトレコード閉店に続き、ウッドストック(ウッドペッカー)もかなり小さくなってしましました。大学は熊大だったので、ウッドペッカーには毎週行ってましたが、今思うと値段がかなり高かったように思います(ニューウェーヴ系では「oh!」の方がいいものがありました)。高校時代も熊本市内に行った折にはたまに寄ってましたので、もしかするとすれ違ったことがあるかもしれませんね。機会があればぜひ母校にもお越し下さい。
by zep (2008-02-16 11:21)