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今年(2009年)のセンター試験 世界史B [大学受験]

 今年のセンター試験世界史Bを解いてみました。昨年より全国平均が60点を下回りましたが、今年は60点は超えるでしょう。


1.
 欧陽脩・蘇軾・顔真卿が唐代の人物なのか、宋代の人物なのか、うろ覚えの人もいたと思いますが、③が明らかに正しいので、易しい問題。最近では2005年の第4問A問3に「④唐は,新法党と旧法党の対立によって衰退した。」という選択肢があります。

2.
 禅宗の成立時期を知らなくても、中学校で習う「日本で禅宗は鎌倉仏教」を思い出せば、鎌倉時代以前すなわち明代以前に禅宗が成立していることがわかる。③の『西廂記』は、1997年の本試験第3問Aに「②元では,『西廂記』などの戯曲が盛んに作られ,庶民に愛好された。」という選択肢があります(清代と間違う人がいたかも.....)。他の選択肢で迷っても、「日本銀・墨銀の中国への流入は明代」というのは大航海時代・大交易時代が明代であることから容易に判断できるはず。2006年の追試第2問Aに「②明代後期に,メキシコ銀や日本銀が流入し,貨幣経済が活発化した。」という選択肢があります。

3.
 宋代の「蘇湖」と明清の「湖広」を判断させる問題は定番中の定番。 2001年の追試第4問A問3に比べれば、はるかに易問。

4.
 4つの選択肢のうち①と②が時代、③が内容のそれぞれ誤りなので、①の場合は「牧羊→トマス=モア→ヘンリ8世」、②は「世界的分業体制の形成→大航海時代以降」という時代の特定ができたかどうか。③のギルドの性格については定番。 2000年の本試験第3問C問8で「①中世都市の同職ギルドは,自由競争を保証し,生産統制を撤廃した。」という選択肢があります。これも他の選択肢で迷っても「ハンザ同盟リューベック」は基本。

5.
 ③④をまず外して、①シュマルカルデン同盟=宗教改革→16世紀前半と結びつけば十分。マラータ同盟の結成時期については18世紀と知っている受験生の方が少ないはず。

6.
 あまりに簡単すぎて「イェニチェリって常備軍?」と迷った人もいたのでは。99年追試の「④オスマン帝国のイェニチェリは,中央から強力な権限を付与されて派遣された徴税官であった。」というのはありましたが、これまでは「④オスマン朝は,キリスト教徒を徴集してイェニチェリとした。」(2005年追試)や「④オスマン朝は,バルカン半島のキリスト教徒の子弟を徴集して軍団イェニチェリを組織した。」(2002年追試)のように、身分的には奴隷であるという点との関わりがよく問われてました。

7.8
 いずれもこれまで何度も出題されてきた定番の選択肢ばかり。易問

9.
 「マクドナルド=労働党→20世紀前半」という判断はできても、「労働組合法は教育法と同じ頃19世紀後半の制定(グラッドストン)」という判断はつかない人もいたかも。「①~③は正しい」という消去法で正解まで至ることも可能。

10.
 「バザール」ではなく「スーク」という用語が出ました。今後は「シャリーア」「ウラマー」などの用語も要注意。

11.12 ともに易問。12の④は、「いい国つくろう鎌倉悪府」でこれも中学生レベル。

13.
 ①~③が間違いであることはすぐに分かるので、消去法が得策。

14.
 ①典礼問題、②北京条約で誤りであることはすぐわかるが、④マテオ=リッチが明代であることは難しかったかも。徐光啓との関係や、「坤輿万国全図」を思い出す。

15.
 毛沢東と混同した人もいたかも。

16.
 教育法が19世紀後半であることは迷った人もいたかもしれないが、グラッドストンの政策であることは、1991年の本試第3問D問11で問われている。

17.
 今年の問題では難問の一つ。スウェーデン・デンマーク・ノルウェーを混同させようという問題はたびたび出題されているが、これまではカルマル同盟やグスタフ=アドルフ、北方戦争などが多かった。ただスウェーデンが第二次世界大戦で中立を維持したことは、1992年度の本試験第4問A で出題されている。フランコのスペインが中立したことも要注意。

18.
 ユゴースラヴィアが問われていると分かっても、地図がわからないと正解にたどりつけないので、易問ではない。中東や東欧の地図はよく見ておくべきだが、第一次世界大戦後の東欧・中東の地図も要注意。

19.20、21
 いずれも標準的なレベル。20は「唐は新羅と同盟して百済・高句麗を滅ぼした」ということが頭にはいっていればOK。21は「前漢の都は長安だったか、洛陽だったか」で迷った人もいたかも。2004年の本試(第4問A問3)で「①前漢の長安には,仏教寺院が多数建立されていた。」という選択肢があります(もっとも、この選択肢は仏教が中国に伝来したのはいつごろかというのがポイントですが)。

22.
 ドンソン文化がセンター試験に初登場。どの教科書・資料集にも載っている銅鼓の写真が使われました。東南アジア関係では、宗教や国ごとの王朝名だけでなく、2004年の本試験のリード文(第4問)に出てきた港市国家も要注意。

23.
 4と同じく、①②が時代で判断、③④が内容で判断というパターン。このパターンは注意しながら解答したいところ。

24.
 「米西戦争中にハワイを併合」ということから、③を正解とした人もいたはず。②のマオリはこれまで世界史Aで出題されたことはありましたが、Bで出題されたのは珍しい。正解の①クックのオセアニア探検は確かに18世紀だが、山川の『詳説』では「19世紀欧米の文化」の項目にまとめて記述があるので、迷った人もいたかも。

25.
 ②③の誤りはすぐ分かりますが、④の「死の舞踏」はちょっと細かい?機動戦士ガンダムダブルオー2ndシーズンに出てくる連邦の衛星兵器「メメント・モリ(Memento mori)」の意味を知っておけば.....

26.
 ①ピピン→カール大帝、②マジャール→アヴァール、③太宗→玄宗(または開元→貞観)というワナはセンター試験ではおなじみのものばかり。しかも正解の選択肢④がこれも平易な選択肢。易問。

27.
 間違うとすればクリュニーをモンテ=カシノと混同するくらい。これも易問。

28.
①新大陸の古代文明で鉄器は使用されなかったというのはこれまでも問われてきた知識(「インカ文明が栄えた当時のクスコでは,鉄器が使用された。」2003年追試第2問A問4)。「マヤはユカタン半島」「キープはインカ」「アステカはテノチティトラン(インカはクスコ)」など必要な他の知識もこれまで出されたものばかり。過去問にしっかり取り組んでおけばなんでもない問題だが、そうでない受験生は手こずったに違いない。

29、30
 いずれも易問。30の「アンゴラはポルトガルから独立」という点はこれまで世界史Aではよく問われていましたが、Bで出題されたのは珍しい(2006年にBの追試で間接的に問われてますが)。授業ではしっかり強調しておいた点ですが、ちゃんと出来ましたか?

31~36
 いずれも標準的な問題。


来年度の対策は
 ・過去問にしっかり取り組む。
 ・年号を出来る限りたくさん覚える。
という2点につきます。
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