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十字軍 [授業ネタ]

十字軍に関連して述べた文として正しいものを、次の①~④のうちから一つ選べ。
 ① 第1回十字軍は、イェルサレム占領に失敗した。
 ② 第1回十字軍は、アタナシウス派の討伐を目指した。
 ③ サラーフ=アッディーン(サラディン)は、イェルサレムを奪回した。
 ④ 第4回十字軍は、イェルサレムを占領した。
                        (2002年度 追試験 世界史A 第3問A )


 『キングダム・オブ・ヘブン』を見て、サラーフ・アッディーン[http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%95%E3%83%83%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%B3]が本名ではない、ということを初めて知りました(^_^;)。映画のネタになった『アラブが見た十字軍』は、授業ネタとしてかなり使えますね。特に「野蛮なフランク-ウーサマの観察」という項目。ここは十字軍そのものの教材ではなく、ヨーロッパ中世の神明裁判や、イスラームの先進的医学を紹介するときに使った方がよさそうです。浜島書店の『新詳世界史図説』の「イスラム文明」の項目で、医学の記述はこの本を参考にしたのでしょう。
 神明裁判について、堀米庸三・木村尚三郎『世界の歴史3・中世ヨーロッパ』(中央公論社)では以下のような方法が紹介されています。
  1.決闘
  2.熱湯の中から石・指輪を拾う(傷が化膿しなければ勝ち)
  3.熱く焼けた鉄棒を持って一定距離を歩く
  4.手をしばったまま、水に放り込む
  5.くじ
  6.乾いたパンを一度に飲み込む
  7.原告・被告ともに十字架の前に立って腕を水平に突き出す
    (早く腕が下がったほうが負け)
  8.殺人の容疑者を被害者の棺のそばに立たせる
    (彼が犯人ならば、被害者の傷から地が吹き出る)
 このうち『アラブがみた十字軍』で、イスラーム教徒が驚いているのが決闘と水に放り込む方法。水に放り込んだ場合、水は清らかなので、沈んだら無罪ということらしいですが、浮かんでこなかたら溺れ死んでしまうような気がするのですが......
 
 十字軍については、叙任権闘争の文脈の中でとらえることも重要です。[http://www005.upp.so-net.ne.jp/zep/sekaisi/middle/12c.html]

アラブが見た十字軍

アラブが見た十字軍

  • 作者: アミン マアルーフ
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2001/02
  • メディア: 文庫


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コメント 4

オガピー

病気たいへんでしたね。私も過去3回入院(盲腸、ヘルニア、憩室炎)を経験しております。くれぐれもお体大切に…。さて、中世の映画のハイライトをお見せになったとのこと。私は時間に追われ、「キングダム・オブ・ヘブン」「薔薇の名前」のパンフのみの紹介でおわりました。3学期には「ジャンヌ・ダルク」だけは見せようと思っています。ただ、映画ではなく、NHKの「その時歴史は動いた」で放映された「ジャンヌ・ダルク」です。これはコンパクトにまとまっていて結構いけると思うのですが…
by オガピー (2006-12-27 08:01) 

zep

オガピー先生、ありがとうございます。今回は痛みとか苦痛とかなかったので、実はいい休養になったような気がしています。一応年内はすべて休みをとっていますので、休養にあてたいと思います。昨日は針治療に行ってきました(笑)。『キングダム~』は映画館で見ていないのでパンフレットは持っていませんが、『薔薇の名前』のパンフレットは私もまだ持っています。少し小さなサイズで「Cinema square Magazine No.56」って書いてあるヤツですよね。確か『ベルリン 天使の詩』もこのシリーズだったような気がします。
by zep (2006-12-27 14:13) 

plot

「アラブが見た十字軍」以前、リブロポート版を読んで、キリスト教世界の野蛮さとイスラム世界の先進性が強く印象に残っています。今では原理主義者たちのお陰ですっかり輝きを失って見えるのは残念ですが。筑摩文庫で出ているのは知りませんでした。「キングダム・オブ・ヘブン」は未見、機会があったら是非、観たいです。
by plot (2006-12-27 20:03) 

zep

私もplotさん同様、持っているのはブロポートから出ていたハードカバーの方です。あのシリーズには、(たぶんplotさんのご専門かと思いますが)『メディチ家』とかけっこう面白い本があるシリーズがあったように記憶しています。リブロポートからは、進化論で有名なダーウィンの父方の祖父エラズマス・ダーウィンによる(母方の祖父は、陶磁器で有名なウェッジウッド)、えらく綺麗な花の絵を集めた本が出ていて、当時としては大枚(8千円くらい?)はたいて大学の生協で買った記憶があります。私はあの本をみて、英国ロマン派に関心を強めたように感じます。
by zep (2006-12-28 09:26) 

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