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『時局防空必携』とその解説 [モノ教材(紙モノ)]

 3月10日は、東京大空襲があった日です。3月10日は日露戦争の奉天戦の日であり、陸軍記念日となっていたことから、日本の戦争継続の気力をそぐ為、あえてこの記念日が選ばれたと言われています。1945年3月9日から10日に日付が変わった直後に開始された爆撃は、2時間あまりで10万人にものぼる人命を奪ったと言われています。高木敏子さんの『ガラスのうさぎ』という作品を読んだことがあるという人も多いのではないでしょうか。東京大空襲を立案したアメリカの軍人カーチス・ルメイ(1906~1990) は、航空自衛隊の育成に功績があったとして、日本政府から勲一等旭日大綬章を授与されたらしい。う~む。
 「ドゥーエ理論」というものがあります。これはイタリア人 ドゥーエが 1921年に発表した『制空論』で述べている戦略で、戦争を早期終結させるには敵の一般市民の士気を破壊すればよい というものです。東京大空襲や、連合軍による第二次世界大戦中のドレスデン爆撃などがこれにあたるでしょう。
 この「ドゥーエ理論」にもとづいて使用されたのが「焼夷弾」です。「爆破する」のが目的ではなく、「燃やす」のが目的の兵器で、木造家屋が多い日本では恐るべき惨禍をもらたしました。これに関しては、熊本市役所のホームページ「熊本大空襲と平和の誓い新た[http://www.city.kumamoto.kumamoto.jp/aramashi/sengo60/index.html]」の中の「火の雨が降る」を読んでみてください。熊本大空襲は昭和20〈1945〉年7月1~2日。現在熊本日々新聞に連載中の八戸澄江さんによる「わたしを語る」にも熊本大空襲のことがでてきました。戦時中に政府が発行した小冊子『時局防空必携』、およびその解説本によれば、焼夷弾には、エレクトロン弾、油脂弾、黄燐弾の3種があるとのこと。このうちもっとも激しい火災を誘発しやすいのは、油脂弾のようです。

 上の4枚の写真のうち、下3枚は内閣情報局が編集・発行していた『写真週報』昭和18年8月4日発行の第283号「改訂時局防空必携写真解説」より。この『写真週報』は極めて興味深いもので、Yahoo!のオークションでは500円前後で入手できます。戦時中の授業で使うには、とてもいいのではないでしょうか。裏表紙の広告「だんぐゎんきって(弾丸切手)」には驚きました。一枚二円で、最高千円が当たったらしい。

ガラスのうさぎ

ガラスのうさぎ

  • 作者: 高木 敏子, 武部 本一郎
  • 出版社/メーカー: 金の星社
  • 発売日: 2005/06
  • メディア: 単行本
写真版 東京大空襲の記録

写真版 東京大空襲の記録

  • 作者: 早乙女 勝元
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1987/07
  • メディア: 文庫
東京大空襲―昭和20年3月10日の記録

東京大空襲―昭和20年3月10日の記録

  • 作者: 早乙女 勝元
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1971/01
  • メディア: 新書


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コメント 2

まろ

 TBありがとうございました。
 私の住んでいる明石の街も、カワサキ航空機の工場があったために7回の空襲を受け、今でも不発弾が出てきます。
 遺族会の方から名簿をお借りしてワープロで打ちなおして整理したプリントをくばり、戦死された方が、いつ何処で亡くなったか・・という授業の時は、「戦争」というものが少し身近になったようでした。

 
by まろ (2007-03-11 09:43) 

zep

名簿に載っている方一人一人に自分と同じ人生があったことを思うと、胸が痛みます。一人殺しても殺人の罪で裁かれるのに、十万人殺したら勲章というのは、なんか納得がいきません。
by zep (2007-03-11 15:32) 

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