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『女王フアナ』(ヴィセンテ・アランダ監督、2001年、スペイン・イタリア・ポルトガル) [歴史映画]

【映画について】
 アラゴン王フェルナンドとカスティリャ女王イサベルの娘にして、スペイン国王カルロス1世(神聖ローマ皇帝カール5世)の生母、そしてスペイン王フェリペ2世の祖母であるカスティリャ女王フアナの情熱的な半生を描いた作品。

【ストーリー】
 キネ旬DB[http://www.walkerplus.com/movie/kinejun/index.cgi?ctl=each&id=34759]

【見所】
 allabout JAPAN [http://allabout.co.jp/entertainment/movie/closeup/CU20040303A/index.htm]
 世界史の教科書では、ハプスブルク家の系図の中に、「中世最後の騎士」と謳われたマクシミリアン1世の子であるブルゴーニュ公フリップ端麗公の妻としてしか登場しない女王フアナ。しかしハプスブルク家がスペイン王位を得たのはこのフアナの存在があったからこそ。「太陽の沈まぬ帝国」は彼女から始まるのです。
 彼女は「狂女フアナ」(Juana la Loca:この映画の原題)と呼ばれたりもします。プラド美術館にあるフランスシスコ・ブラディーリャが彼女を書いた2枚の絵(夫の棺を前にしたフアナと、幽閉されたフアナ)は、そのイメージをことさら強くしているようです。彼女についての詳細はWikipediaを読んでいただくとして、この映画に限って言うと「狂気と愛は表裏一体」という感じです。フアナを演じる主演のピラール・ロペス・デ・アジャラが美人だけに(シャネルやクリスチャン・ディオールのモデルをしているらしい)、鬼気迫るものがあります。この映画の成功はひとえに彼女の演技があってのものという気がしますが、相手役フェリペ(フィリップ端麗公)を演じたイタリア人美男俳優ダニエレ・リオッティも悪くない。ちなみに教科書に出てくるフェリペ2世に対し、1世はこのフィリップ端麗公のこと。映画での彼は左利きのようですが、実際のフィリップも左利きだったのでしょうか?フアナがかつての恋人ドン・アルバロにささやく Animula vagula, blandula「彷徨える愛しい魂」 は、ローマ帝国の五賢帝の一人ハドリアヌス帝の辞世の句の一節(Wikipesia FR[http://fr.wikipedia.org/wiki/Hadrien])。洒落てますね。
 ただこの映画、エロティックな描写が多く、教室で上映するには難しいところ。レンタルして自分で見てください。恋人同士で見るには勧めませんが。

女王ファナ

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  • 発売日: 2004/09/15
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女王フアナ

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  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2004/02
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狂女王フアナ―スペイン王家の伝説を訪ねて

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  • メディア: 単行本


スペイン断章〈上〉歴史の感興

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  • 作者: 堀田 善衛
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スペイン断章〈下〉情熱の行方

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  • 作者: 堀田 善衛
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  • 発売日: 1996/01
  • メディア: 文庫


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コメント 2

yokuさんとこから飛んできました。
女王ファナ。このような美女であったかは?ですが、スペイン女王としての自負と狂乱として幽閉される人生は興味以上のものを感じます
by (2007-03-18 16:52) 

zep

彼女はハプスブルク家に嫁いだ女性ですが、ハプスブルク家を語る場合にはこの人に触れなければならないでしょうね。教科書の本文には出てきませんが、系図には必ず出てきます。山川出版社の『詳説世界史』を使った人は、一度は彼女の名前を目にしているはず?『嵐が丘』のキャシー(こちらは架空の人物ですけど)のように、不思議な魅力を放っている女性です。僕的には、ここまで情熱的に愛されれば本望って気もしますけど(笑)。
by zep (2007-03-20 20:08) 

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