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小田中直樹『世界史の教室から』(山川出版社) [授業研究・分析]

 「高校における世界史の授業はどのように行われているのか」という関心にもとづき、大学生に対するアンケートを実施、そこで名前があがった世界史の教師51人から聞き取り調査を行い、結果を分析するという、これまで誰も思いつかなかった研究。調査対象となったのが大学生ゆえ、いわゆる進学校の教師に調査対象が集中してしまったが、それ以上の調査方法が見あたらない以上、致し方あるまい。「すぐれた授業を行っている」と評価された教師の授業観や手法を知る上で、授業作りの参考になる本。

  一読した結果、自分が実行できそうなことで、今後意識的に行っていきたいことは、おおよそ次のように要約されます。
 「エピソードや面白い話を織り交ぜ、因果関係がわかるようストーリーを構成する。」
 また比較・相対化という観点も織り込みたいところですが、先般の日本西洋史学会における森分孝治先生のコメントは、日本史との比較の視点を持つべきだというものでした。もちろん「異民族王朝の中国文化に対するスタンスの違い」などといった世界史の授業だけで完結する比較も重要(類似性を抽出するのも、もちろん比較)ですが、「この頃の日本はどんな社会だったのか」という単純な比較も重要だという気がしています。

 西洋史学会のシンポジウムで、「歴史(の授業)には面白さが必要」と発言したことは以前にも書いたところです。また以前「世界史の授業など役に立たない」という書き込みに対して、「役に立たないということが、不必要だということにはならない」という一種の開き直りとも言える(=役に立たないことを認めているような)返答を書いたこともありますが、同じように考えておられる先生がおられる(「数は少ない」と但し書きはありますが)のを知り、大いに勇気づけられました(45ページ)。興味関心喚起の方策として、本書では「語り」の面からアプローチされていますが、興味関心が喚起されるのは、「面白い」という気持ちが沸いたときだと思います。興味関心を喚起するための方策として私が用いているのが、モノを教室に持ち込むことです。

 「他の先生はどのように授業を進めているのか」を知る機会はあまりないですし、教師同士で話すことは「授業の内容論」が多いので、こうした形で個々の教師が思っていることを共有できたのは、世界史の教師としてありがたいことです。

 朝日放送系列で放送中のクイズ番組「アタック25」の熊本予選が昨日あり、私も出場してきました。結果は残念ながらペーパーテストの段階で予選落ち。十年ほど前に出たときは面接までいったんですがねぇ。エルメスをカルティエと間違ったり、 井筒和幸の名前(「ゲロッパ!」「バッチギ!」の監督)やサフラン(パエリアに使われるスパイス)が出てこなかったのも痛かったですが、個人的に最大の失態は、「ワルシャワ条約機構」を「コメコン」と間違ってしまったこと(てんぷくトリオの名前がでてこなかったのは2番目に痛かった......あやうくレッツゴー三匹と書きそうになった)。WTOの本部がある都市ってどこですか?って公民のT先生に尋ねたら、T先生も知りませんでした。答えはジュネーヴだそうです。

世界史の教室から

世界史の教室から

  • 作者: 小田中 直樹
  • 出版社/メーカー: 山川出版社
  • 発売日: 2007/06
  • メディア: 単行本


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