『オリバー・ツイスト』(ロマン・ポランスキー監督、2005年、イギリス) [歴史映画]
『戦場のピアニスト』でオスカーを獲得したロマン・ポランスキー監督が、文豪ディケンズの名作を映画化。19世紀のロンドンの暗い雰囲気が、ポランスキーらしい美意識を感じさせます。フェイギンに扮するベン・キングズレー(1982年に『ガンジー』でアカデミー賞の主演男優賞を獲得)の演技がイケてますが、特殊メイクのせいで言われないとベン・キングレーとは分からないほど。
原作を忠実に映画化しており、監督自身が語っているように「(これまで自分が撮ったことがなかった)子どもと一緒に観ることができる映画」です。オリバー役の子役俳優の素晴らしい演技もさることながら、再現された19世紀ロンドンの生活も見所。石炭の普及にともなって煙突掃除が職業となり(実際に掃除をする場面はでてこないが、掃除人の言動からその労働の過酷さは覗うことができる)、子どもたちを一カ所に集めて労働力として利用するシーンなどは、産業革命の暗部として見せることもできるかも。
私はカルト映画『ローズマリーの赤ちゃん』(主演のミア・ファローは、ビートルズの曲「ディア・プルーデンス」に歌われているプルーデンス・ファローの姉である)やら、妻のシャロン・テートが惨殺されて以後性犯罪で起訴された事件などで、ポランスキー監督を「ヘンな人」と思ってきましたが、最近の活動をみるとその美意識と映画作りの姿勢には、かなりひかれます。ちなみにディアゴスティーニは以前『週間マーダー・ケース・ブック』という世界の猟奇的殺人を毎週特集するというかなりマニアック?な冊子を出してて、その中にはポランシキーの妻シャロンを惨殺したチャールズ・マンソンの特集もありました(その号だけ買いました)。
【シネマトピックス】 http://www.cinematopics.com/cinema/works/output2.php?oid=5463
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