『歴史写真のトリック~政治権力と情報操作』(朝日新聞社) [歴史関係の本(小説以外)]
この本と『ビゴー素描コレクション』全3冊の合計4冊セットで3000円でした(Yahoo!オークション)。なかなか楽しめるセットでした。
歴史的なトリック写真として真っ先に思い出されるのは、浜島書店の資料集にも掲載されている「消されたトロツキー」ですが、その他ヒトラーやムッソリーニ、毛沢東などのトリック写真の修正前と後を比較するという興味深い本。当時の時代背景などの説明も楽しめます。一番おもしろいのは、表紙になっている毛沢東の追悼式典(1976年9月18日)で天安門上に並んだ要人たちを撮った1枚。四人組追放後は、彼ら4人が消去されているのですが、4人を消した部分の間隔をつめるようなことをせず、不自然な空白のままになっています。これは「意図的に消した」ことを示しているわけで、華国峰政権の姿勢と力を誇示しています。
この本には、文革で失脚した彭真元北京市長のエピソードが語られています。平成17年に熊本日々新聞で連載された「二つの祖国に生きて~元中国残留婦人の戦後60年」の第4回では文化大革命中の体験が述べられていますが、紅衛兵に押さえつけられる彭真の写真が使われています。彼が四人組の一人、江青の恨みを買ったエピソードも掲載されています(彭真氏が文革を生き延び、1997年まで生きていたというのはオドロキでした)。
スターリン時代のトリック写真をあつかったサイト[http://www.newseum.org/berlinwall/commissar_vanishes/]
『ビゴー素描コレクション』は、「明治の風俗」「明治の世相」「明治の事件」という構成です。なんと言っても風刺画が多く載っている「世相」が一番おもしろい。
2008-11-04 22:27
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