蒋介石の幣制改革 [授業ネタ]
先週の金曜日、鹿児島の高校で世界史の授業を見学させていただきました。興味深かったのが、蒋介石による幣制改革がかなり詳細に説明されていたことです。私は「通貨の統一という経済政策によって、蒋介石による中国の政治的な統一もすすみ始めた」とその意義くらいしか話さないのですが、授業でその詳しい内容をうかがって興味をひかれ、ちょっと調べてみました。(『中国近現代史』岩波新書ほか)
①統一前の状況
通貨の基本は銀で、紙幣は多くの銀行が発行していたため、発行する銀行の信用度に応じて、額面と流通範囲が変動していた。
②銀の使用禁止
それまで流通していた銀はすべて政府が買い上げて国有とし、アメリカに売却する。売り上げを法幣価値の安定基金として積み立てる。
③ポンドとのリンク
1元を1シリングの固定為替相場制で(当時のレートとしてはイギリスに有利)、36年5月以降にはドルともリンクするようになった。
市古宙三『中国の近代(世界の歴史20)』(河出文庫)によれば、アメリカの中国進出に対抗するためにイギリスはリース・ロスを中国に派遣し、彼の勧告に従って幣制改革が実行に移されました。一方アメリカは、イギリス主導の改革に反発し、ロンドンでの銀購入を停止します。困った中国(ロンドンで銀を売り、かわりにポンドを入手していた)は銀の最大購入国であるアメリカに救援を求めざるをえなくなり、結果的に法幣はドルともリンクすることになったわけです。つまり幣制改革の裏には、中国をめぐるアメリカとイギリスとの主導権争いもあった、ということになります。蒋介石による経済統一とひきかえに、中国は米ドルと英ポンドの支配下にはいってしまったことになります。
①統一前の状況
通貨の基本は銀で、紙幣は多くの銀行が発行していたため、発行する銀行の信用度に応じて、額面と流通範囲が変動していた。
②銀の使用禁止
それまで流通していた銀はすべて政府が買い上げて国有とし、アメリカに売却する。売り上げを法幣価値の安定基金として積み立てる。
③ポンドとのリンク
1元を1シリングの固定為替相場制で(当時のレートとしてはイギリスに有利)、36年5月以降にはドルともリンクするようになった。
市古宙三『中国の近代(世界の歴史20)』(河出文庫)によれば、アメリカの中国進出に対抗するためにイギリスはリース・ロスを中国に派遣し、彼の勧告に従って幣制改革が実行に移されました。一方アメリカは、イギリス主導の改革に反発し、ロンドンでの銀購入を停止します。困った中国(ロンドンで銀を売り、かわりにポンドを入手していた)は銀の最大購入国であるアメリカに救援を求めざるをえなくなり、結果的に法幣はドルともリンクすることになったわけです。つまり幣制改革の裏には、中国をめぐるアメリカとイギリスとの主導権争いもあった、ということになります。蒋介石による経済統一とひきかえに、中国は米ドルと英ポンドの支配下にはいってしまったことになります。
くじをいただきます
by kaafu (2008-11-10 21:41)