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山内昌之『帝国のシルクロード』(朝日新書) [歴史関係の本(小説以外)]

 『嫉妬の世界史』はいまひとつでしたが、この『帝国のシルクロード』は実におもしろいエッセイ集。新発見に事欠かない一冊でした。

 もともと朝日新聞社から刊行された「週刊朝日百科 シルクロード紀行」に連載されたエッセイを一冊にまとめたもので、40近くのエッセイから成っています。一つ一つは短いものの、文中で紹介されている本はどれも魅力的で、読んでみたくなるものばかり。とりわけ司馬遼太郎の『蒙古桜』という短編は、ぜひ読んでみたい作品です。その他、おもしろかった話は以下の通り。
 ・「バグダードの『かぞえびと』」・・・・イスラームの商業と数学
 ・「ソロモンのコーヒー」・・・・イスラーム世界におけるコーヒー
 ・「苦悩する現代のシルクロード」「世界の『新たなバルカン』」・・・・中央アジア(内陸アジアの)の現在
 ・「クルド人に国のない不思議」・・・・セーヴル条約とローザンヌ条約の違い
 ・「ハンニバルとイブン・ハルドゥーン」・・・・ハンニバルの誤算
 ・「英雄サラディン、二つの欠陥」・・・・サラディンのエピソード(映画『キングダム・オブ・ヘブン』を見よう!)
 ・「リチャード1世、サラディンの好敵手」・・・・妹とサラディンの弟を結婚させようとは、何という計画!
 ・「三つのエルサレム」・・・・中東戦争とエルサレム
 ・「コンスタンチノープルからイスタンブールへ」・・・・メフメト2世の後悔
 ・「武士の鑑と近代のファラオ」・・・・ムハンマド・アリーの改革
 ・「天璋院篤姫とモールス電信機」・・・・タイトルそのまま

 また「子どもたちの『新しい世界史』」は、示唆に富む内容です。同じ歴史学者によるエッセイ集『地中海』(岩波新書)と違って、とても読みやすい本です。




帝国のシルクロード 新しい世界史のために (朝日新書 125)

帝国のシルクロード 新しい世界史のために (朝日新書 125)

  • 作者: 山内 昌之
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2008/08/08
  • メディア: 新書



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コメント 2

凡山

山内先生の歴史の講義取ってましたよ!!授業がどんどん脱線して、裏話(?)披露するのでテストは悲惨でした…( T_T)
もーいくつ寝るとセンターですね(;-∀-)思い出す…
by 凡山 (2008-11-09 19:12) 

zep

一流の先生の講義が受けられるとは、凡山さん、羨ましいぞ!話題な豊富な山内先生の脱線話、さぞかし面白かったことでしょう。まぁ凡山さんの「悲惨」はあまり当てになりませんからねぇ(笑)。もうすぐ教科書の内容も終わります。センター試験もまもなくです。凡山さんたちに続くことを期待してます。
by zep (2008-11-09 21:15) 

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