SSブログ

「問いの構造図」にもとづく社会科授業づくり [授業研究・分析]

 今年の熊本県高等学校地歴・公民科研究会の日本史・世界史合同部会は、東京学芸大学の渡部竜也先生を講師にお迎えしての勉強会だった。最初に渡部先生による模擬授業が行われ、続いて講演(「問いの構造化」による探求学習の設計)、そして最後が参加者によるワークショップ(授業作成)という流れであった。前日は台風6号が九州に接近していたため開催が危ぶまれたものの、当日は天候も回復して無事開催することができた。注目を集めている先生が講師と言うこともあり、他県の先生方もオンライン・対面で参加されており(私の前の席に座っておられたのは大分県の先生であった)、充実した会となった。

 学部・院生時代ともに社会系教科教育法の指導を受けた先生がお二人とも広島大学のご出身だったこともあり、「なぜ」発問にもとづく探求学習の授業は私にとって馴染み深いものである。教育実習で最初にやった授業も「ヨーロッパで香辛料が高価だったのはなぜだろう」という問いにもとづく授業だった。

 渡部先生による模擬授業は、江戸時代の鎖国を題材としたものであった(『社会科授業づくりの理論と方法』第4章)。私の隣に座っていたのは副会長のO先生(私と同期で日本史)だったが、二人で話し合いながら楽しく参加することができた。参加者は「分かった気になる」のは楽しいものだ、ということを実感できたことだろう。思い出したのは、今から40年近くも前のこと、大学の社会科教材研究の時間に受けた模擬授業である。このとき受けた模擬授業は、後に「よみがえれ!縄文人」として藤岡信勝・石井郁男編『ストップモーション方式による1時間の授業技術』(日本書籍)という本に収められた(当時の授業で出てきた縄文土器が気になり、後藤和民『縄文土器をつくる』を読んで「調理に使える=縄文土器のスゴさ」を改めて実感した)。以後私の授業作りでは、「(~なのに、)~なのはなぜか」という問いにもとづく構成にできるようにしたいと考えてきた。

 渡部先生による「問いの構造図」にもとづく探求授業と、森分孝治先生による探求授業との違いは『社会科授業づくりの理論と方法』78㌻と第7章で触れられているが、講演で印象深かったのは「本質的な問いは後づけでよい」という話だった。理想は「逆向き設計」だろうが、実際に授業をつくる場合は「後づけ設計」(『社会科授業づくりの理論と方法』134㌻~)の方が現実的であると思う。最後のワークショップでは、私を含めて4人で「露仏同盟と日英同盟があるにもかかわらず、日露戦争が始まってすぐに英仏協商が成立したのはなぜか」という問いを設定して問いの構造化を考えたが、問いを考える中で、「日露戦争の世界史的な意義は何か」などの後づけEQが出された。

 そしてもう一つ、「歴史と地理/政治/経済など諸科学との総合化=間接的な歴史教育の公民化」という点。現在担当してる「公共」「歴史総合」「世界史B」に加えて、二学期からは「地理B」も担当する予定。


社会科授業づくりの理論と方法 本質的な問いを生かした科学的探求学習

社会科授業づくりの理論と方法 本質的な問いを生かした科学的探求学習

  • 出版社/メーカー: 明治図書出版
  • 発売日: 2020/11/12
  • メディア: 単行本



nice!(3)  コメント(0) 

nice! 3

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。