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冬のライオン (1970年、イギリス、アンソニー・ハーヴェイ監督) [歴史映画]

 この前の日曜日が出張だったので、今日は代休です。まずは先日ヤフオクで買ったビデオ『冬のライオン』(レンタル落ちで380円)をみました。「冬のライオン」とは、プランタジネット朝を創始したイングランド王ヘンリ2世(位1154~1189)のこと。1183年、ヘンリ2世はクリスマスを祝うという名目で、幽閉中の王妃エリナーをはじめ、リチャード(後の獅子心王)、ジェフリー、ジョン(後の失地王)、フランス王フィリップ2世(尊厳王)らを呼び集めます。彼らが繰り広げる家族の愛憎劇がこの映画のテーマ。スペクタクル的な大々的戦闘シーンはありませんが、ヘンリに扮するピーター・オトゥール、エリナー役のキャサリン・ヘップバーンという二人の名優が見所です。他には、アンソニー・ホプキンス(リチャード)、007役もこなしたティモシー・ダルトン(フィリップ)なども出演しています。
 面白い映画ではありますが、この時代の歴史を知らないと少々分かりづらい部分もあるのではないでしょうか。まずエリナーはなぜ幽閉されているのか。エリナーは、アリエノール・ダキテーヌというフランス風の呼称の方がよく知られているのではないでしょうか?彼女は名前通りアキテーヌ公の娘で、アキテーヌ公領をはじめとする広大な領地を継承した女性です。映画でフリップとの会話に出てきたとおり、1137年、彼女は15歳でフランス王ルイ7世の王妃となりますが、これまた映画中にもあった第2回十字軍での行動をはじめとする身持ちの悪さで、1152年には仏王から離婚されます。離婚したものの大領主であるエリナーの所領にひかれて結婚したのが当時ノルマンディー公のヘンリ。二人の結婚は、エリナー離婚の翌年1153年ということですが、このとき彼女は31歳。ヘンリよりも11歳年上です。エリナーが幽閉されるのは、結婚から20年後のことで、理由は二人の息子リチャードとジョンを焚きつけて父に反抗するようし向けたことによります。なお映画中にでてきたロザモンドというのは王の愛人の一人です。映画ではエリナーが殺したかのような描写がありましたが、ロザモンドが死んだのは1176年頃で、エリナー幽閉よりも後の話です。
 映画のあと、ヘンリはリチャードと争うことになります。その後和解しますが、映画の舞台となったシノン城で亡くなりますが、この時臨終に立ち会ったのは息子のうちジェフリーだけだったそうです。実際はジェフリーは庶子だったとも言われ、彼は後にヨークの大司教となりました。アレースはフィリップ2世の妹でリチャードの婚約者ですが、王位についたリチャードはこの婚約を破棄して、スペインのナヴァル王女ベレンガリアと結婚します。二人の間には子どもがなかったので、弟ジョンが王位を継承するわけです。またジョンはのちフィリップと抗争して大陸におけるイングランド領の多くを失い、さらにはローマ教皇にも屈服して、1215年マグナ=カルタを認めるのは教科書にあるとおり。

冬のライオン〈デジタルニューマスター版〉

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  • 出版社/メーカー: ビデオメーカー
  • 発売日: 2002/01/30
  • メディア: DVD


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