今日の2年2室の授業は、後漢の話でした。そこで教室に持っていったのが金印のレプリカ。2室の担任は日本史のM先生です。金印の話はもう終わっているとのことですが、M先生も金印のレプリカを持っているとのこと。見せてもらったところ、どうも私が持っているレプリカの方が造りがよいみたいなので、両方持っていって「M先生が持ってるものより、私が持っている方が上等だ」と紹介しておきました(笑)。M先生のは山川出版社の製品で、定価3150円だったそうです。
これが箱。右側がM先生のもの。箱からして私の方が立派(笑)。
さてこの金印、以前は偽作説があり(現在は否定されているようですが)、宮崎市貞氏の『謎の七支刀』(中公新書)には次のような記述があります。
「金印は後世の偽作ではないか、という疑問もたえず提出されている。私が第三高等学校教授であった折の同僚、といっても大先輩にあたるが、古文書学では第一人者と称された中村直勝教授もその一人であった。私がこの金印についての意見を求めると、教授はこともなげに、「あやしいな。なんせ、ほんま物が二つもあるんやで」と答えられた。金印の真物が二個存在するとは、聞き捨てならぬ発言のようだが、ただし、それなりの理由があることは、私にも後になって分かった。昭和58年8月、京都高島屋において朝日新聞社の主催により、「邪馬台国への道」展が催されたが、その折の注意深い観察者ならば、なにかしら、はてなと気づくことがあったはずである。ただ現今の私としては、これ以上にはなにも言い足すことはできない。」
宮崎市貞氏(故人)というと、京都大学教授、同名誉教授を務め、パリ大学やハーバード大でも客員教授を務めた、わが国における中国史の泰斗であります。ウチの学校の図書館には宮崎氏の全集も揃ってます。いかがわしい話とも思えません。真相はいかに?ご存じの方は教えて下さい。数年前、これについて詳しい話がないかとネット上を探していたところ、「金印レプリカをプレゼント」というウェブサイトにたどり着き、応募したら当選したのが私の持ってるヤツです。
夕方帰ろうとしたら、「平井さん、今年卒業したSが先生のことをえらくほめてたよ」と公民のM先生。
「ええ?どこでですか?」
「合格体験記なんだけど、ウチの学校のじゃなくて本として発売されているヤツで」
「へえ、それはうれしいな。どこで読んだんですか?」
「進路室にあるよ」
ということで、進路室に行ってみたところ、『東大文Ⅰ 2006』(株式会社データハウス)という本でした。まあ、ここまで書かれると、うれしいけど恥ずかしいような気持ちです(これを読んで私の授業に期待した人を裏切りそうな気がしないでもない)。これで天狗にならないよう、謙虚に努力を怠らないようにしたいと思います。もっとも、2月の特別授業の時期に彼が私の授業だけを受けに来ていたことを知っていましたが、それが私の自信と励みになっていたことは確かです。
謎の七支刀
- 作者: 宮崎 市定
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 1983/01
- メディア: 新書
2006-06-29 20:24
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金印のサイズは、1辺が2.4センチらしい。正確には2.35センチで、これは後漢代の1寸にあたる。森浩一『古墳の発掘』(中公新書)にいよれば、この単位が古墳の設計に使われたという。森氏は後漢の尺よりも若干長い晋尺(2.4センチ)が使われてたというが、例えば仁徳陵の486メートルは2000尺、応神陵の430メートルは1800尺、履中陵の360メートルは1500尺だという計算になる。なるほど。
by zep (2006-07-08 23:21)