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『プレジデント ファミリー』9月号 [授業研究・分析]

 『プレジデント』という雑誌があります。ビジネスマン向けの雑誌ですが結構面白くて、「気づく力」とか「考える力」とか、面白そうな特集の時には買ってみます。これまで面白かったのは、「会社と人の心理学」(2004.8.2),「不機嫌女房、無気力我が子」(2004.8.30)とか。
 『プレジデント』は教育関係の記事も結構多かったのですが、それに特化したのが『プレジデント・ファミリー』という姉妹雑誌。9月号は「最強教材50選」という特集が目を引いたので、買ってみることにしました。全国の難関中学校が使っている教材を紹介する特集があり、社会の地理・歴史は鹿児島のラサール中学が取り上げられています。
 地理では、「自問力」というキーワードが使われています。基本的には「なぜか」というwhy型の問いに対する「説明力」、つまり「○○なのに××なのはなぜか」という既有の知識・認識との不協和をもたらす問いに対する説明を追求するスタイル。「説明」は、森分孝治氏が唱えていた形の授業で、取り立てて新しいものではありません。築地久子氏の小学校社会科「宅配便」とか河南一氏の中学校社会科「縄文時代」なんかは、まさにそれ。なんでラサールのそれが「説明力」ではなくて「自問力」なのかというと、こうした訓練を積み重ねることで、教師がいなくても生徒は「○○なのに××なのはなぜか」という問いを自分でみつけるようになるらしい。一方、歴史のほうは「想像力」というタイトルがつけられていますが、こちらもwhy型発問に対する説明を求めるスタイル。想像力を駆使して問いに対する説明をしてみよう、ということらしいが、何らかの資料を与えている以上、「想像力」ではなくて「論理的思考力」または「説明力」というほうが妥当だと思うけど。どうもこの特集で「社会」を担当した編集者は、「社会科の授業=教師の一方的説明」という思いこみがあるように感じられる。社会科の授業としてはオーソドックスともいえるスタイルの授業に、えらく感動しているのはそのためでしょうね。
 国語の項では、「(国語の)授業の成果が表れるとしたら、何十年もあとのこと」という言葉が紹介されていますが、前回紹介した村井淳志先生の『学力から意味へ』で引用されている本多公栄先生の「ぼくは(生徒たちの)20年後にかけて教えているのだ」という言葉を思い出しました。村井先生がおっしゃるとおり、本気で受け止めるには重い言葉ですが、理想とはしておきたいことです。あとこの雑誌で面白かったのは、編集後記「教師たちの本音~頭のいい子の意外な弱点」。『学力から意味へ』の安井先生の章で、子どもたちの変化について述べられていたけれども、少し考えていくべきテーマかもしれません。


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