SSブログ

校内模試の問題 [大学受験]

 ウチの学校では、3年生対象に年間5回の校内模試があります。地歴科ではそのうち第4回目と第5回目にあわせて、年回2回の論述模試を実施します。昨日金曜日が今年第1回目の論述模試で、私は今年欧米史の担当で、昨日の試験ではいわゆる大論述の問題をつくりました。まだまったく採点していませんが、出来はどうだったでしょうか。
 何かお気づきの点があれば、指摘していただけると有り難いです。


【問題】  ブランデンブルク選帝侯国とドイツ騎士団領に起源をもつプロイセン公国は、三十年戦争の被害が少なかったため、戦争後のドイツでオーストリアと並ぶ強国として、主権国家体制の一翼を担う存在となった。  18世紀にはいって間もなく、プロイセンはスペイン継承戦争を契機に王国へと昇格sるが、これ以後のドイツ統一までのプロイセン王国の歴史について、統一の過程に重点をおき、以下の語句を使用して480字以内で述べなさい。使用した語句には、最初に使用した箇所に下線を引くこと。なお、解答文中以下の語句について、カッコ内の語句を書く必要はない。

   三月革命    ナポレオン   啓蒙専制君主   鉄血政策
   シュレジェン  ウィーン会議  ユンカー
   普仏戦争(プロイセン=フランス戦争)
   普墺戦争(プロイセン=オーストリア戦争)


〈出題の意図〉
 中世以来分裂を続けていたいたドイツとイタリアの統一は、19世紀における大きな出来事であった。そのうちのドイツの統一の過程について、中心となったプロイセンの歴史をあとづけながら確認して欲しいというのが出題の第一のポイント。そしてドイツ統一の特徴として、西ヨーロッパと異なり市民層の成長が遅れていたことから、上からの主導で行われたことを確認して欲しいのが第二のポイント。統一の過程では、ナポレオンに敗北したことで、国民意識が高まったことも指摘して欲しい。シュタインやハルデンベルクによる改革も、上からの主導であった点は、市民層が中心となったイギリスやフランスの場合と対比させて考えることも重要である。少し古いが、東大では1988年にフランス革命やイギリス革命との比較で、「19世紀初頭のプロイセンの改革の特色と思われる点を指摘せよ。」という問題が出題された。リード文中「統一の過程に重点をおき」という指示や、480字という字数を考えて、オーストリア継承戦争や七年戦争の経緯は細かく書かず、コンパクトにまとめて欲しい。

〈解答例〉
第2代フリードリヒ=ヴィルヘルム1世の時代に絶対主義の基礎が完成したプロイセンは、啓蒙専制君主に数えられるフリードリヒ2世が、オーストリア継承戦争、七年戦争を通じてシュレジェンを確保し、18世紀後半ユンカーを国家の支柱とした強国となった。19世紀初頭、フランスのナポレオンに敗れたプロイセンは、ティルジット条約で領土を失ったが、ウィーン会議で領土を広げ、ドイツ連邦の一翼を担った。ナポレオン戦争により国民主義が高まったプロイセンではドイツ統一の機運が高まり、ブルシェンシャフトの運動や、1848年の三月革命時のフランクフルト国民議会がドイツ統一を目指したものの、こうした下からの運動は失敗した。このため国王ヴィルヘルム1世はビスマルクを登用し、彼の鉄血政策によって上からの統一を進めた。1866年、プロイセンは普墺戦争でオーストリアを破って、自らを盟主とする北ドイツ連邦を形成し、統一の主導権を握った。ついで1870年には統一を阻害するナポレオン3世のフランスを普仏戦争で破り、翌年ヴィルヘルム1世を皇帝とするドイツ帝国が成立し、ドイツの統一が完成した。(469字)

〈加点ポイント〉 
・フリードリヒ=ヴィルヘルム1世の時代に国力充実(絶対主義の基礎をつくる) 2点
・啓蒙専制君主のフリードリヒ2世のもとユンカーを支柱とした強国に成長  3点
・オーストリア継承戦争、七年戦争を通じてシュレジェン確保 3点
・ナポレオン戦争でティルジット条約を結ぶ 2点
・ナポレオン戦争で国民主義が高まる 1点
・ウィーン会議で領土を広げ、ドイツ連邦を構成 2点
・ブルシェンシャフトの運動失敗 1点
・三月革命時のフランクフルト国民議会の運動失敗 2点
・下からの統一は失敗し、上からの統一運動を推進 2点
・ビスマルクが、鉄血政策により統一を進める 2点
・普墺戦争に勝利して北ドイツ連邦を形成(統一の主導権を握る) 2点
・普仏戦争に勝利して、ヴィルヘルム1世を皇帝とするドイツ帝国が成立 3点


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:学校

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。