ビートルズは好き?じゃあダライ=ラマの名前は知ってて損はないかも [授業ネタ]
世界史Bの教科書でビートルズに関する記述があるものは少ないようですが(山川の『B用語集』では③)、Aの教科書では数多く取り上げられています。山川から出ている3種類のA教科書ではすべて取り上げられており、その他帝国書院や実教、東京書籍のA教科書にも記述と写真があります。「ビートルズが好き」という生徒も多いと思うので、授業ネタとしては使えると思いますが、教科書に書いてあることくらいは誰もが持っている認識でしょうから、「教科書といかに差別化をはかるか」ってことでしょうね。
先日チベットのダライ=ラマが出てきたので、今日生徒に聴かせたのがビートルズの「トゥモロー・ネバー・ノウズ」(Tomorrow Never Knows)。この曲は1966年に(彼らが来日公演を行った年)にリリースされた7枚目のアルバム『リボルバー』(Revolver)のラストを飾る曲で、最近ではクラブ系アーティスト、ケミカル・ブラザースの「SETTING SUN」(96年の全英No.1で、オアシスのノエルがヴォーカルで参加している曲。ドラムのリズムから甲高いギターの雰囲気、そしてヴォーカルに被さっているエフェクトまで似ている)に真似されたことで有名な曲。この曲におけるジョン・レノンのヴォーカルには、1分30秒くらいから独特のエフェクトがかけられていますが、これはハモンド・オルガン用のロータリー・スピーカー(レスリー・スピーカー)を通してつくられた声です。これがなぜ世界史の授業に関係あるのかというと、プロデューサーのジョージ・マーティンによれば、このときジョン・レノンは「ダライ・ラマが山のてっぺんから歌っているみたいなサウンドにしてほしい。それでいて歌詞の一語一語がちゃんと聴き取れるようにね。」という要求をしたとのこと(マーク・ルウィソーン著『ビートルズ・レコーディング・セッション』シンコー・ミュージック刊、1966年4月7日の項)。この結果できあがったのが、この声。というわけで、ごじつけですが、許してください。
エンジニアは、昨年ビートルズとのレコーディング秘話を出版してビートルマニアの話題をかっさらったジェフ・エメリック(エマリックと表記されることも)。『レコーディング・セッション』には、ジョンはこの曲で「4000人の修行僧がバックで歌っているような感じを出してくれ」と言ったという説も紹介してあり、また『リボルバー』の日本盤ライナーでは「ラマ教の僧によるお経の大合唱を意図していたと言われている。」という説も紹介されています。
『レコーディング・セッション』によればテイク1~3までがレコーディングされ、公式にリリースされたのはテイク3にテープ・ループのSE(サウンド・エフェクト)をSI(スーパー・インポーズ)したもの。1996年にリリースされた2枚組『アンソロジー2』にはテイク1が収録されていますが、ジョンのヴォーカルはすでにレスリーを通っており、しかもリリース版ではダブル・トラッキングのみの最初の部分も、レスリーを通っています。一方、『Unserpassd Masters Vol.3』(Yellow Dog)に収録されているテイクは、SEははいってますが、ジョンのヴォーカルの最初の部分がダブル・トラッキングになっていません。あとから加えられたジョージのシタールもはいっていることから、テイク3がもとになっていることは確かですが、どの時点での状態なのか不明。不思議なトラックです。
という話をしたのですが、反応は今ひとつ(今ふたつ?)。まぁこんな日もあるでしょう......マニアックすぎたか?最近は以前に比べると「この話題ならおそらく生徒も興味を持つはず」と思っても、はずしてしまうことが増えてきました。ジェネレーション・ギャップ、ってやつ?
『リボルバー』では最初の曲、ジョージ・ハリスン作の「タックスマン」も、ヒースとかウィルソンとかの名前が出てきて、授業に使える曲です。
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はっきりいって先生、マニアックすぎます。
僕はとっても面白かったけど。
by plot (2007-02-01 04:47)
やはりそうですか(^_^;)でも別のクラスでも聴かせるつもりです。今度はケミカル・ブラザーズも聴かせてみます(笑)。
by zep (2007-02-01 20:32)