『13デイズ』(ロジャー・ドナルドソン監督、2000年、アメリカ) [歴史映画]
【映画について】
1962年に起こったキューバ危機による、10月15日から28日までの13日間にわたる米ソ間の核戦争寸前の緊張状態を、当時のケネディ米大統領の側近の目から描いた作品。主演は『JFK』のケビン・コスナーで、大統領特別補佐官ケネス・オドネルを演じています。
【ストーリー】
キネ旬DB
[http://www.walkerplus.com/movie/kinejun/index.cgi?ctl=each&id=32307]
【見所など】
教科書では5~6行で扱われるキューバ危機を映画化した作品なので、現代史の入門としてはいい作品です。結末が分かっているので、今ひとつハラハラドキドキというわけにはいきませんが、キューバへの武力侵攻を主張する軍部と、あくまで話し合いによる解決の道を探ろうとするケネディ大統領とその弟ロバート、そしてオドネルの政治的駆け引きが見所と言えます。その過程で海上封鎖のラインにソ連の船が接近したり、キューバへ偵察に向かった飛行機が撃墜されるなど緊張が高まっていきます。Wikipediaによると、 作品中の軍部の将軍たちが好戦的に描かれているとして国防総省からの協力を一切拒否された、という逸話があるらしい。キューバのミサイル基地の様子はフィリピンにセットをつくったということです(制作費8千万ドルという大作)。JFKと弟ボビーは有名な人物ゆえ、役作りにはかなり苦労したことでしょう。雰囲気は出ていて悪くないと思います。一番似ているのは、マクナマラ国防長官かも。
難点はアメリカ側からの視点が強すぎ、ソ連側の描写がまったくないこと。国連総会におけるソ連代表とアメリカ代表のやりとりをみていると、やはり「アメリカは正しい」というヒロイズムが見え隠れしているような気がします。興味深いのが、同時に収録されている「ヒストリカル・コメンタリー」音声。JFKやケネス・オドネル、マクナマラ国防長官、サリンジャー報道官、そしてフルシチョフの娘までが登場して映像解説を行っています。歴史に関心がある人は、レンタル落ちの安いVHSよりもDVDを買った方がいいかも。家庭ではさほどスマートとは言えないオドネルが、ホワイトハウスではカッコよく仕事をこなす豹変ぶりもユニークでした。授業で見せるには少々ダレる部分もあります。キューバ危機に関する予備知識があまり無い方が、逆に楽しめるかもしれません。
NHKスペシャル 十月の悪夢―1962年キューバ危機・戦慄の記録
- 作者: 阿南 東也, NHK取材班
- 出版社/メーカー: 日本放送出版協会
- 発売日: 1992/11
- メディア: 単行本
ロバート・ケネディ13日間―キューバ・ミサイル危機回顧録 (1968年)
- 作者: 毎日新聞社
- 出版社/メーカー: 毎日新聞社
- 発売日: 1968
- メディア: -
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