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クリミア戦争 [授業ネタ]

 クリミア戦争(1853~56)というと、私が高校生の頃は「東方問題」の一つという点が大きくクローズアップされていたような気がしますが、最近では「ウィーン体制の崩壊を決定づけた」という記述が教科書にも載るようになってきました。帝国書院の『新詳世界史B』(平成20年度用、173ページ)、東京書籍の『世界史B』(平成19年度用、285ページ)といった、最近の強化にはいずれも触れられています。山川出版社の『詳説世界史』にある「これ(クリミア戦争)によって、ロシアとイギリスが支えてきたヨーロッパの国際秩序は大きく動揺し、以後70年代初頭まで戦争が頻発し、.....」という記述(225ページ)もこれを受けてのことだと思われます。勢力均衡によって平和を維持しようとしてきたウィーン体制ですが、「ウィーン体制成立以来の最初の大戦争」(『新世界史』260ページ)であるクリミア戦争によって、最終的に息の根を止められたということでしょう。ウィーン体制は、メッテルニヒの失脚で崩壊したというわけではないようです。
 意外に思ったのが、『新世界史』の記述です。ルーマニアの事実上の独立に尽力したナポレオン3世の国際的威信が高まったことが2カ所に渡って強調されています(260・264ページ)。「ルーマニアの事実上の独立」が太字になっていますが、なぜでしょう?そんなに重要なことでしょうか?このことは東京書籍の『世界史B』でも、「ナポレオン3世は、モルダヴィア・ワラキアの自治権承認に尽力し、国際政治での発言権を強めた」と書かれています。

 この戦争でナイチンゲールが活躍したのは有名な話。イギリス発行ナイチンゲール生誕150年の初日カバーです。

 またWikipediaによると、カーディガン目出し帽が生まれたのもこの戦争がきっかけだとか。Wikipediaには、「この戦争でヨーロッパに紙巻きタバコが広まるきっかけとなった」ということも書かれていますが、直接の関係は不明。もしかすると、この話が関係しているかもしれません[http://www.jti.co.jp/sstyle/museum/culture/mind/20.html]。


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hello

はじめまして。高校世界史授業関係を扱っている様ですが、懐かしくて感銘をうけましたよ。やはり高校世界史というと何時になっても定番は山川出版の世界史ですかね?クリミア戦争って名前も懐かしいです。聖地管理権獲得とかの内容の辺りの時間的経過過程だったと思いますが?そうでしたよね???他人様にきくより、自分で調べたほうがいいか…。
すみません。おそまつさまです。こらからも頑張ってください。
by hello (2007-06-11 05:09) 

zep

helloさん、はじめまして。高校の世界史今日となってはや?20年が過ぎようとしております。高校世界史を取り巻く状況は、あまりよいものではありません。そういった中で、少しでも面白い授業をしたいと思っている私の備忘録です。クリミア戦争、おっしゃるとおり聖地管理権の問題がはじまりでした。「懐かしくて」とおっしゃるわりには、よく覚えてらっしゃいますね。helloさんはおそらく歴史に興味をお持ちの方だと拝察しますが、僕はそういった人を一人でも増やしたいと思っています。
by zep (2007-06-12 19:31) 

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