NHK教育テレビ『地球ドラマチック~失われた古代都市②ハットゥシャ』 [歴史ドキュメンタリー番組]
今朝午前10時から放送されていた教育テレビの番組ですが、たいへん興味深い番組でした。英BBCの制作です。概略は以下の通り。備忘録的に箇条書き。
・20世紀の初めめまで、古代のオリエントではエジプト・アッシリア・バビロニアの三大王国が知られており、ヒッタイトの存在は知られていなかった。
・古代オリエントで大王とはエジプト・アッシリア・バビロニアの3人の王であったが、発見された文書では、エジプトのラムセス2世がヒッタイト王を「大王」とよんでいる。
・山中に築かれたヒッタイトの首都ハットゥシャは、巨大な城壁に囲まれていた。高さは最大で30メートル、厚さは8メートルにもおよぶ。
・ヒッタイトではオリエントで広く使われていた楔形文字が使用されていたが、これはヒッタイト語を表記するためのものであり、ヒッタイト語そのものは解読されないままだった。ヒッタイト語がインド・ヨーロッパ系だとは思いつかなかったからである。しかしwaterに近い単語などが発見され、インド・ヨーロッパ系の言語であることがわかり、驚きをよんだ。(つまりアルファベットで英語やドイツ語、トルコ語を表記するのと同じですね。楔形文字を使っていたオリエント国家は、全部同じ言語を使用していたと思っていた私は、なんて無知だったのでしょう!)
・楔形文字以外に、ヒッタイトには象形文字も使用された。これを読める人は現在世界に数人しかいない。
・ヒッタイトには詳細な軍隊訓練マニュアルがあった。厳しい罰則が定められ、馬にも訓練をほどこした。
・カデシュの戦いでは、車輪の位置を兵士搭乗部の中央に移動した(それまでは後方にあった)改良型が使用された。この改良によって安定性が増し、戦車に乗ることができる戦闘員は2人から3人に増えた。
・ヒッタイトの強さの源泉は、強固な団結であった。しかしヒッタイト象形文字の解読によれば、ヒッタイトは内紛によって崩壊した。ヒッタイトの王は、重要な資料を運び出して自ら都に火を放ち、そこを放棄した。その後彼らがどこへ移動したか不明である。
CGを使った都とその城壁の再現、ヒッタイト語の解読(「今、あなたはパンを食べ、水を飲む」という一文がわかるまで)のプロセスなど、かなりおもしろい内容でした。教科書では3行程度しかでてこないヒッタイトですが、かなり興味をひかれる国家です。
鉄を生みだした帝国―ヒッタイト発堀 (NHKブックス 391)
- 作者: 大村 幸弘
- 出版社/メーカー: 日本放送出版協会
- 発売日: 1981/01
- メディア: 単行本
アナトリア発掘記 ~カマン・カレホユック遺跡の二十年 (NHKブックス)
- 作者: 大村 幸弘
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2004/05/30
- メディア: 単行本
ヒッタイトの番組があってたとは・・・。悔しい。見逃してました。悔しい。
BSで再放送されていた「世界から見たニッポン 大正編」を予約することに
気をとられていたせいかも・・・。
ところで、ZEP先生は録画された番組はどうされていますか?
僕は生徒に見せたいと思ったのは、DVDに焼いて保存。
それ以外の番組は、MPEG4のファイルにエンコードして保存。
(これだと手間はかかるのですが、サイズが10分の1になるので便利)
by 半兵衛 (2008-02-12 15:34)
昔は『映像の世紀』などMPEGにしてDivxで圧縮してCD-R(DVDではなく)に焼いてましたが、最近はまったくしなくなりました。録画しても見せる時間がない、というのが理由です。やはり視覚や聴覚に訴える、というのは重要だとおもうのですがねぇ。この番組も授業で見せるといい番組だとは思いましたが、結局録画もしませんでした。
by zep (2008-02-12 22:51)
地球ドラマチックは、来年4月からはTBSが「悪魔の契約にサイン」の後継番組として放送するそうです。
by 杉田平和町 (2008-12-05 01:31)
あの手の番組をゴールデンタイムに放送とは、かなりの英断だと思います。世界中からクオリティの高いドキュメンタリー番組を探しだし、権利をとって吹き替えをする.....という手間はかなり大変そう。
by zep (2008-12-07 14:30)