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たとえを使った説明 [授業ネタ]

 先日半兵衛先生からお尋ねがあった件です。私も関心があったので、昔の『歴史と地理』をひっくり返してみました。見つかったのは、423号(1990年の11月号)で、「世界史の研究145」。執筆者は長野県の窪田善雄先生という方です。「歴史概念を何かにたとえることで生徒の興味と理解を引き出したい」という考えには、つよくひかれます。「果にたとえる中国古代国家の変遷」など、いくつか例が出されていますが、中でもインパクトがあるのがある女性の生涯にたとえたカトリック教会の発展」です。夫(西ローマ帝国)に先立たれた女性という設定で、妹夫婦(コンスタンティノープル教会と東ローマ帝国)、若い恋人(フランク王国)に前夫のかたみを贈って再婚、そして夫婦喧嘩へ....という話です。素晴らしい!あと教室を使った古典荘園のたとえも、よくできています。掲載されているマンガも面白いですね。この論文では「たとえ話」を使うときの問題点も指摘されており、こちらも参考になります。「授業をよりよく構成するためのあらゆる手練手管を身につけなければならない」という指摘は、普遍性を持った指摘だと感じます。窪田先生は、513号に「アルノルフィニ夫妻の肖像にみる中世ヨーロッパの諸相」という文章を書いておられますが、これも面白い。

 その他再読して面白かった記事は以下の通り。
  ・408号(1989年8月)  「音楽でたどるヨーロッパの歴史」
  ・414号(1990年2月)  「教具と疑問で迫る世界史授業」
  ・420号(1990年8月)  「思考力を育てるための世界史の授業
                   ~イギリス産業革命をどう教えたか」
  ・432号(1991年8月)  「歴史を観る-映画を駆使した授業」
  ・441号(1992年5月)  「北宋・徽宗皇帝の『桃鳩図』と日本」
  ・483号(1995年11月) 「お金が語る世界史」
  ・489号(1996年5月)  「世界近現代史の授業で使える音楽教材」
  ・495号(1996年11月) 「各国貨幣の教材化」
  ・561号(2003年2月)  「歴史は何の役に立つの(木村尚三郎氏のエッセイ)」

 414号の特集で私は「モノ教材」に目覚め、483号と495号の特集を読んで各国の貨幣を集め始めました。こうした「授業の工夫」を語ることも重要なことだと思います。


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コメント 6

半兵衛

早速例え話の出典をお調べいただき感謝感謝です!!
宗教を生徒に理解させるのは難しいので、こういうことだよと例え話で説明するというのは、先生のおっしゃる通り極めて効果的な方法だと思います。特に、高校の歴史の教科書は取っつきにくいですからね(その中で東京書籍の世界史Bは孤軍奮闘している印象)。
「歴史と地理」のバックナンバーは、地歴科教室にあるはずなので早速探してみます。難解というイメージがあり敬遠していたのですが、特集によっては、活用できるんですね。目から鱗が落ちました。
小生もzep先生を見習って本を読まないといけないのですが、最近は映像資料の収集に凝ってます。探検ロマン世界遺産、BSドキュメンタリー、NHKスペシャル、その時歴史が動いた、知るを楽しむ、タモリのヒストリーXなどなど。
知るを楽しむはチェ・ゲバラやドストエフスキーを特集でやってくれますからね。NHK批判なんて、思っていても僕は絶対出来ません(笑)
生徒には見せなくても、自分が楽しい。歴史の教員は毎日がトレビアです。尤も、その面白さを全然生徒に伝えられなくて悪戦苦闘してるんですけど(苦笑)。
P.Sお忙しいと思いますが、ZEP先生がよく使われている世界史の例え話ベスト5なんていう切り口でいつか書いていただけると読者としては大変嬉しいです。
by 半兵衛 (2008-02-14 18:08) 

zep

「自分が楽しい」というのは、確かにありますね。授業で話すことはないにしても、本を読んだりドキュメンタリーや映画を見る際に背景などを知っておくとより楽しむことができるということがあります。テレビ番組など映像資料という点では、キャスターの話し方なども参考になりますしね。内容と同じく、話し方などの説明の技法という点も授業には大切な要素だと思います。その点たとえ話は有効な手段でしょうね。映像資料ではBBC制作の「世界に衝撃を与えた日」という作品を1本だけYahoo!のオークションで買ったので、近々見てみるつもりです。
by zep (2008-02-16 11:05) 

新米

はじめまして。
私は高校で地歴の講師を務めている者です。
『歴史と地理』という本(雑誌?)は図書館や資料館で見れたり、現在でも購入できるものなのでしょうか?
調べても全く情報がつかめなくてコメントさせていただきました。
by 新米 (2009-10-25 13:48) 

zep

『歴史と地理』は山川出版社が高校の教師向けに発行している雑誌で、日本史・世界史・地理が月替わりで特集されます(世界史は2・5・8・11月号です)。

山川の教科書を採択している高校には無料で送ってくれますが、個人でも購読は可能です。定期購読は、毎月だと1180円、世界史だけだと年間480円です。山川出版社のホームページから問い合わせてみてはいかがでしょうか。

学会に入って本格的な授業研究をやるのもよいことだと思いますが、教師向けに教科書会社が出している情報誌のほうが、授業をするうえではすぐに役立つことが多いと感じます。私個人としては、山川の『歴史と地理』は、授業に焦点を絞った帝国の『世界史のしおり』とならぶ、双璧だと思いますので、読んで損はないと思います。
by zep (2009-10-26 20:45) 

新米

お返事ありがとうございます。
さきほど山川出版社さんに問い合わせてみました。

それと教科の先生がいくつか持っているかもとおっしゃってくれたので、過去のものはそれを読んでみようと思います。
あと、私の学校は山川の教科書を使っていますので、もう一度社会科のなかを探ってみます。

はやくその情報誌と出会いたいです。
by 新米 (2009-10-27 22:25) 

zep

教科に送られてくる郵便物は、だいたい教科主任のところにいくものですが、主任の先生が忙しい方の場合、こうした出版社からの郵便は行方不明となることが多いものです。「来たら私にください」とお願いしておくのもいいかもしれませんね。
by zep (2009-10-27 22:43) 

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