SSブログ

『エリザベス1世』(英国カンパニー・ピクチャーズ制作:2005年) [歴史映画]

 2話構成でイングランド女王エリザベス1世を描いた長編テレビドラマ(劇場公開作品ではありません)。そしてエリザベス1世を演じたのは、第79回アカデミー賞でオスカーを獲得した、ヘレン・ミレン。女王の相手役レスター伯を演じるのは、ジェレミー・アイアンズ。ジェレミー・アイアンズは、オーランド・ブルームの『キングダム・オブ・ヘブン』で穏健なトリポリ伯レイモン、レオナルド・ディカプリオの『仮面の男』では三銃士の一人アトスを演じた俳優です。『ダイ・ハード3』では、ブルース・ウィリスの敵役でした。二人の演技は、「円熟」という言葉がピッタリの素晴らしさ。ちなみにヘレンが第79回のアカデミー賞で主演女優賞を獲得した作品は『クイーン』ですが、彼女が『クイーン』で演じたのは、現女王エリザベス2世でした。

 エリザベス1世の映画、というとケイト・ブランシェットの『エリザベス』がすぐに思い出されるわけですが、史実に即しているのはこちらのほう。史実ではアルマダ海戦の時のエリザベス1世は55歳。ケイト版よりもヘレン版の方が年齢的には近いでしょう。『ゴールデン・エイジ』では、ウォルター・ローリーが女王の相手でしたが、このころの相手は、この作品通りレスター伯ロバート・ダドリー(番組中では女王が「ロビン」と呼びかけている)。劇中で、レスター伯の先祖が謀反を企んだという場面がありますが、これも史実通り。アルマダ海戦の際の演説も、こちらの作品の演説は残されている史料とだいたい一致しています(この演説でのヘレン・ミレンの演技もいいです)。
 フランスのアンジュー伯の扱いが、ケイト版とかなり違っているのはおもしろいですが、処刑や拷問シーン、テムズ川の様子、時々見えるエリザベスの大紋章、書類につけられたシールなど、史実に即してかなり忠実に再現されています。テレビドラマですが、ここまで細部にこだわった作りはさすがイギリス、というところ。ただテレビドラマだけに、金がかかるアルマダ海戦の戦闘シーンはまったくなし(帰還してきた艦船が、勝利を知らせる旗を掲げているのみて皆で歓声をあげる)。
 DVDの2枚目は、レスター伯の義理の息子、エセックス伯との関係が中心。女王の苦悩はまだまだ続きます。この続きは、DVDボックス『ブリティッシュ・キングダム』の「レジェンド・オブ・サンダー」にて。




  NHK BS2で「エリザベス1世」が放送されたときのウェブページ[http://www3.nhk.or.jp/kaigai/elizabeth1/index.html]


エリザベス1世

エリザベス1世

  • 出版社/メーカー: エイベックス・トラックス
  • メディア: DVD



ブリティッシュ・キングダム DVD-BOX

ブリティッシュ・キングダム DVD-BOX

  • 出版社/メーカー: ハピネット・ピクチャーズ
  • メディア: DVD



nice!(1)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 1

コメント 2

半兵衛

zep先生お久しぶりです。
「エリザベス:ゴールデンエイジ」を僕もやっと見ました。歴史系の映画で
ここまで見応えがあったのは、「キングダムオブヘブン」以来でしょうか。
先生も書かれているようにヘレン・ミレン版のエリザベスでは、アルマダ海戦の場面が残念ながらなかった。
ですから、本作品はエンタメ系ではありますが、興奮しましたね。
公式サイトのプロダクション・ノートによればローリーの部下達がイングランドをスペイン無敵艦隊から防御する時に使われた帆船タイガー号は、実際の寸法で作られているそうで、長さ54メートル、巨大な鉄の枠組みに厚さ10㎝の板材をネジ止めして建造され製作には数ヶ月を要したらしいですよ。
by 半兵衛 (2008-03-04 10:42) 

zep

半兵衛先生もご覧になりましたか。映画館に行ったのは『ナイトミュージアム』以来でしたが、お金払って映画館で見る価値は十分あったと思います。前作は馴染みのエピソードがあまりなかっただけに、今回の作品は高校生が見てもかなり楽しめると思いました。
アルマダ海戦のシーンは、圧巻でしたね。白馬が船から落ちるのは、スペインの没落を象徴しているかのようでした。焼き討ち船をはじめ、海戦の様子は『ホーンブロワー』や『マスター・アンド・コマンダー』といった作品で見られるナポレオン戦争時代の様子とあまり変わらず、以後200年くらい海戦の様子は変わらないのかなぁ、などと思ったりもしました。
by zep (2008-03-04 20:31) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。