SSブログ

永井紀之著「受験体制下の世界史教育」「授業記録:『サッカーと世界史』」「グローバルヒストリーと世界史教育」 [授業研究・分析]

 愛媛県の高校で世界史を教えている先生から頂戴した論文。有志の先生方で発行している『ソーシャル・リサーチ』という雑誌に発表された論文とのことですが、「研究会の運営と研究誌の発行」という労ももちろんのこと、内容がかなり面白く多くの先生方に関心を持っていただきたい内容です。南塚先生の『世界史研究所』でも概略が紹介されているので、ご覧ください[http://www.history.l.chiba-u.jp/~riwh/japanese/index.php?itemid=152&catid=7]。


 永井先生は「受験体制下の世界史教育」の中で「情報を活用する場・機会を保障」という表現を使っておられますが、私はこの「場をつくる」というのは極めて重要なことだと思っています。昨年読んで面白かった本の一つに山口義行著『聞かせる技術』(河出書房新社)という本があるのですが、その中で「人を育てるのは、人ではなく"場"です。」というフレーズがありました。本の中では「つかみにはキーワードが大事」という文脈で、そのキーワードの例としてあげられていた言葉ですが、その言葉の意味を考えると、世界史の授業の中で「情報を活用する場・機会を保障」することは大切だと言えるでしょう。

 「情報を活用する場・機会」は討論や発表という手段だけではなく、レポートという手段でも可能ではないでしょうか。山川出版社の『歴史と地理』No.621(2009.2 世界史の研究218)には、岡本和也著「論理的思考力を養う歴史教育~レポート作成を通じて」という論文が掲載されていますが、これを読むと、レポートも「情報を活用する場・機会を保障」する手段の一つだと感じました。個人的には、授業時間数に制約が多い進学校ではレポートの活用は魅力的です。

 永井・岡本両先生とも拙文を読んでいただいたようで、ありがたいことです。

 「サッカーと世界史」というと、授業で最近紹介したエピソードが、ユーゴスラヴィア共和国の崩壊とサッカーのユーゴ代表チームにまつわる話。サッカー日本代表オシム前監督がユーゴ代表の監督だったときに選手だったのが現名古屋グランパス監督のストイコビッチですが、オシム氏はボスニア出身でストイコビッチ氏はセルビア出身。「東欧のブラジル」ユーゴ代表の崩壊の歴史は、そのままユーゴスラヴィア連邦の崩壊とつながると言っても過言ではないでしょう。Wikipedia掲載のエピソードは授業に使えます。

 WIkipedia:「サッカーユーゴスラヴィア代表の歴史」

 Wikipedia:「ユーゴスラビア社会主義連邦共和国の崩壊」




聞かせる技術

聞かせる技術

  • 作者: 山口 義行
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2008/05
  • メディア: 単行本



nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:学校

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。