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トム・スタンデージ『世界を変えた6つの飲み物』(インターシフト) [歴史関係の本(小説以外)]

 農耕の開始がもたらした革命的なメリットは、食料の「生産」ということ以上に「貯蔵」が可能となったことでしょう。その意味では数年以上保存が利く穀物の生産はかなり重要な点です。保存の容器として土器が登場してくるのですが、帝国書院の『明解 新世界史A』にあるように、わが国の縄文土器は煮炊きに使用されたものです。したがって縄文土器は農耕と結びつかず生まれたわけですから、「世界で最古の土器」という説明は面白いコラムだと言えます。世界史の教科書でも、こうしたコラムがあるのは賛成。

 穀物のもう一つの有用な点は、アルコールに変化するということです。帝国の『タペストリー』にはシュメール人がビールを飲む様子が刻まれた円筒印章が載っています。古代のビールの表面には穀物の粒や殻、その他のゴミが浮いていたのでストローで飲んでいたのですね。後には「同じ釜の飯を食う」的な象徴的な行為に変化していったようですが。

 この本では、世界を変えた6つの飲み物として、ビール、ワイン、蒸留酒、コーヒー、紅茶、コーラの6つが取り上げられています。コーラ以外はいずれの飲み物も世界史のネタとして使われてきたものですが、意外と面白かったのがコーラ。グローバル化の象徴として使えると思います。冷戦下、コーラを好んだソ連高官の依頼で「透明なコーラ」をつくったというエピソードは興味深い。



世界を変えた6つの飲み物 - ビール、ワイン、蒸留酒、コーヒー、紅茶、コーラが語るもうひとつの歴史

世界を変えた6つの飲み物 - ビール、ワイン、蒸留酒、コーヒー、紅茶、コーラが語るもうひとつの歴史

  • 作者: トム・スタンデージ
  • 出版社/メーカー: インターシフト
  • 発売日: 2007/05
  • メディア: 単行本



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