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68回目の終戦記念日 [たんなる日記]

 今日は終戦記念日。いまから68年前の1945年(昭和20年)8月15日、昭和天皇による玉音放送が流れ、当時の国民が日本の降伏を知ったのである。ポツダム宣言の受諾決定と連合国への通知は前日の8月14日であり、ミズーリ号における降伏文書の調印は9月2日である。にもかかわらず、8月15日が終戦記念日となっているのは、それだけ玉音放送のインパクトが強かったのだろう。
 正午の黙祷を終え、菊池市の夢美術館に行ってきた。新たに発見された菊池(花房)飛行場の写真が展示されている。東側の正門の写真は、付近の建造物の構造がよくわかり、大変興味深い。私が住んでいる西側の正門の写真も見つかると興味深いのだけど。
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 一昨日、鹿児島県南九州市の知覧特攻平和会館を再訪した。前回(6年前)は家族で訪れたのだが、今回はサッカー部の合宿の帰りで生徒と一緒。
 展示されている特攻隊員の方々の遺書を読むと、胸がつまる思いだ。皆さん達筆で字が上手く、文章もしっかりしている。今の普通の高校生が書けるような文章ではない。なかでも私がいちばん印象に残っているのが、橋正豊次少尉(石川県出身)の遺書。姉とおそらく義姉にあてた遺書は、優しさと感謝に満ちた文章。写真で見る橋正少尉の顔は、端正で凛々しいものであった。
 記念館で『新編 知覧特別攻撃隊』という小冊子を購入したが、表紙と本文には、子犬を抱いた隊員の写真が掲載されている。彼らのその後を知っているだけに、写真の笑顔は余計に私の胸を打つ。
 知覧から出撃して若い命を散らした隊員439名のうち、当時日本の植民地であった朝鮮半島出身の方々が11名おられる。名簿を見ると、いずれも当時は日本名を名乗っておられたようだ。記念館には、朝鮮半島出身の特攻隊員に対する慰霊碑も建立されている。『新編 知覧特別攻撃隊』に収録されている「特攻の母」島濱トメさんの手記には、出撃前日の韓国出身の隊員とともにアリランを歌ったこと出てくるが、目を帽子のひさしで隠していたという彼は、何を思って歌っていたのだろう。
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 熊本からは直接沖縄へ出撃した特攻隊として、健軍飛行場(現在の県立大と日赤病院の前の道は、もと健軍飛行場の滑走路であり、付近には掩体壕も残存している)から出撃した義烈空挺隊はよく知られているが、同館の資料によれば私が現在住んでいる菊池の花房飛行場からも1機が直接沖縄へ出撃している。花房飛行場は中継基地だと思っていたので、驚きであった。
 特攻隊員として出撃していった方々は、家族をはじめ愛する人を、そして国を護りたいという思いであったことが遺書を読むと伝わってくる。彼らは家族を、国を、その後の日本人に託していったのだろう。今日の日本は、彼らをはじめ、戦闘員・非戦闘員をとわず戦争で命を失った方々の犠牲の上に成り立っているのは間違いない。こうした悲劇を繰り返してはいけないという思いで、平和憲法はできあがったはずだ。現在の日本国憲法を変えるということは、戦争で亡くなった方々の、尊い犠牲を無駄にすることであるように感じられる。

   知覧特攻平和記念会館  http://www.chiran-tokkou.jp/index.html

 現行憲法を「アメリカによる押しつけ」と批判する人は多い。しかし、「外国から押しつけられた憲法を日本は受け入れた」との主張は、終戦直後の日本が「戦勝国の要求を唯々諾々と飲まざるを得ない惨めな敗者」であったという先入観にとらわれているように思える。ジョン・ダワーの『敗北を抱きしめて』(岩波書店)を読むと、終戦直後の日本人が持っていた柔らかな強さが伝わってくる。敗北という現実を直視して「抱きしめる」ことで、占領軍による社会改革に積極的に対応していったというプロセス。その原動力となったのは、戦争に対する嫌悪感に裏打ちされた新しい国づくりという希望だったのだろう。だからこそ、戦後の日本は奇跡の復興を成し遂げることができたのではないか。わずか7歳の子どもですら、両親と妹を失いながらも、肉親の遺骨を抱えて満州からたった一人で日本に帰ってきたのである(『敗北を抱きしめて』上巻48~49㌻)。

 戦争とそれに続く混乱の中で、尊い命を落とされた方々のご冥福を、心から祈るばかりである。 


新編 知覧特別攻撃隊

新編 知覧特別攻撃隊

  • 作者: 高岡修
  • 出版社/メーカー: ジャプラン/発売 亥辰舎
  • 発売日: 2010/03/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



敗北を抱きしめて 上 増補版―第二次大戦後の日本人

敗北を抱きしめて 上 増補版―第二次大戦後の日本人

  • 作者: ジョン ダワー
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2004/01/30
  • メディア: 単行本



敗北を抱きしめて 下 増補版―第二次大戦後の日本人

敗北を抱きしめて 下 増補版―第二次大戦後の日本人

  • 作者: ジョン ダワー
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2004/01/30
  • メディア: 単行本



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