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今年の一橋大の問題 [大学受験]

 一橋大の第2問も、難問だが思考力を要求する良問。

 ともに1967年に発足したヨーロッパ共同体と東南アジア諸国連合は、地域機構として大きな成功をおさめた。両機構の歴史的役割について、その共通点と相違点を説明しなさい。(400字以内)

 「両機構の歴史的役割」について、その「共通点」と「相違点」を説明せというのが要求。各予備校が発表した解答例を見てみたところ、
  1位:Y   2位:S  3位:K
 というのが私の評価。共通点と相違点が明確にわかる書き方をしているのはYのみで、「共通点は経済協力を通じた地域統合」「相違点は統合の深度」とストレートでわかりやすい書き方になっている。Kも「(ASEANは)EUと同様に関税障壁の撤廃による市場統合を果たしつつ高い経済成長率を示した」「共通通貨制度や中央議会制度をもたず政治的統合力は弱いが」と、一応共通点と相違点らしき事項は読み取ることができる。
 Sの解答例はちょっといただけない。「政治的統合へ向けEUに発展し」「政治的統合は実現していない」との文言は見えるが、どれが共通点でどれが相違点なのかよくわからない書き方。Sの一橋分析には、共通点として「米ソ冷戦構造化下で反共的外交姿勢をとったこと」「域内の経済統合を進めたこと」、相違点として「政治的統合に向かったECと、まだ具体性のないASEAN」といった点があげられているが、それが答案では伝わってこない。『世界史論述練習帳』(パレード)を読んでいた受験生は、Sよりもよい答案ができたのではないか?

 カール大帝の戴冠という一橋ではおなじみのテーマを扱った第1問について、「カールは、この時なぜローマに滯在していたのか、また、なぜ「ローマ人の皇帝」としてローマ人民により歓呼されたのか」という問いは難しい。カールのローマ滞在の理由について、リード文に「聖ペテロ教会でのクリスマス・ミサに出かけ」とあるので、これは書けない。Sの分析に「カールがローマを訪れていたのは直接的には教皇を保護するためだが、根本的には西ローマ帝国を復活させるためであり、ローマ人民も帝国が復活したゆえに歓呼したのである」とあるが、どうもピンと来ない。
  
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