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今年の「センター試験世界史Bの分析」の分析 [大学受験]

今年のセンター試験世界史Bでは久しぶりにグラフが出題されました(第1問の問3)。この問題に対する、各予備校の分析は以下の通りです。

K予備校
「グラフを使用した問3は、七年戦争終結、フランス東インド会社再建の時期がわかった上で、それをグラフから読み取れる情報と照らし合わせる必要がある。」

Y予備校
「問3はグラフから読み取った内容と年号の知識を組み合わせて解くのがポイント。」

T予備校
「Aではオランダなど三国の艤装船舶数のグラフ問題が出題されたが、年号がわかれば判定は容易である。」

S予備校
「問3では1630年から1799年にかけてのオランダ・イギリス・フランスのアジアに向かう船舶数のグラフが示され、二文正誤形式で問われた。グラフから船舶数の変化を正しく読み取ったうえで、七年戦争終結とフランス東インド会社再建の年代を正確におさえている必要があり、判断に迷った受験生も多かったと思われる。各国の船舶数の推移から当時の国際関係をうかがい知ることができる良質な素材であった。」

 われわれ高校教師にとってたいへん有り難いのは、予備校がこうした平均レベルの分析をしてくれることです。大手予備校すべて同じような分析を出してくれると、「主要な予備校は全部年号年代の問題と分析していたけど、並レベルの分析だ!」と大風呂敷を広げることができます。生徒に対して、われわれの腕の見せ所というところでしょう。

 今年使われたグラフは「17世紀前半から18世紀末に西欧3カ国でアジア向けに艤装された船舶数」という興味深い資料です。これを二文の正誤組み合わせと併用しているので、難度は高いと思われます。一見すると、各予備校が出している分析通り年代で判断ということになるでしょう。確かにbについては、コルベール~ルイ14世の時代という年代判断が正攻法(フランスの東インド会社は19世紀にも再建されていますが)。しかしaについては、「スペイン衰退後の17世紀はオランダの世紀で、その後英仏の抗争が始まる」ということを知っていれば、七年戦争の正確な年代を知らなくても正誤の判断は可能です。七年戦争が海外植民地をめぐる英仏の抗争である....ということを思い出せば、グラフから「七年戦争は18世紀」ということも推測可能です。グラフからは、英仏が17世紀の危機に巻き込まれたこともわかるので、日常の授業でも使用したい資料。この点だけはS予備校の分析に同感です。
 





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