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大学入学希望者学力評価テスト [大学受験]

 高大接続システム改革会議で公開された「大学入学希望者学力評価テスト」のイメージの例等(マークシート)には、世界史の問題が含まれています(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shougai/033/shiryo/1367231.htm)。 この問題例で提示されていたグラフは、2013年の大阪大学の問題で使用されていた資料と同じでした。二つの問題とも、長期的なGDPの推移から、どれが西欧・中国・日本等を示しているかを推理するという点では共通しています。また問題の形式では、「会話調」という点でも共通点が感じられます。
 大阪大学の正答率はあまりよくなかったようで、翌2014年の問題では、会話文の中で前年2013年のグラフが再度取り上げられました。会話は高校生と先輩の大学院生との間で交わされているという設定で、高校生は「このグラフのAとBはどちらが中国で、どちらが西ヨーロッパかわからないんですが」と発言しています。この問いかけに対して先輩の大学院生は「Bに対抗してワッハーブ運動が起こったっていうんだから、Bが西欧だとわかるよね」と答えていますが、他の設問から正答を導き出せという指摘は、せっかくのよい資料が生かされていないという印象はぬぐえませんでした(http://zep.blog.so-net.ne.jp/2013-03-09)。
 一方、改革会議版の問題では、西欧と中国の区別は十分可能です。阪大の問題と改革会議の問題との資料提示の違いは、ヨーロッパと中国が逆転した19世紀前半の数値が、阪大版で提示されたグラフでは確認できない点にあります。19世紀前半の数値が含まれていれば、『VIEW21』6月号(ベネッセコーポレーション)の特集でも触れられているように、アヘン戦争以降の西欧と中国の逆転を想起することが可能となり、難易度はかなり下がります。むしろそのほうが多面的な思考が可能となるように感じますが。阪大2014年の会話文で触れられている「中国における17~18世紀の人口の変化」が、改革会議版でも使われていることから、改革会議版は阪大版を参照していることは明らかですが、完成度はかなり上がっていると言えるでしょう。
 小川幸司先生は『VIEW21』掲載の記事で、「考える授業への転換」のため「生徒を揺さぶる問い」が必要だと指摘しています。改革会議は、世界史の授業で重視すべき学習のプロセスと評価すべき具体的な能力を案として提示してますが、ざっくりとまとめてしまうと、森分孝治先生が主張していた「なぜか、という問いに対して説明できる能力」ということでしょう。そのためには、生徒に考えさせるネタが必要です。今年の1月に実施されたセンター試験の世界史Bでも統計資料を用いた問題が出題されていましたが(問題番号12)、このような資料は、大いに活用できるのではないでしょうか。

 さて、 8月8日に宮崎県の大宮高校で開催される宮崎県進学研模試問題作成力アップ研修会に講師としてお招きいただいております。精一杯頑張りたいと思っていますが、与えられたテーマの一つに「問題作成力を授業力向上にどのように結びつけるか」というものがあります。私自身まったく目途はついていませんが、ますます重要となるテーマだと思いますので、現時点での私の考えを述べさせていただきたいと思っています。私もいろいろとご意見をうかがいたいと思っています。
 この文章をお読みの方の中で、宮崎県の先生がおられましたら、前日から宮崎市内に宿泊しますので、7日の夜に情報交換をお願いできたら幸いです。私のツィッターまたはフェイスブックに連絡いただけたら有り難いです。よろしくお願いします。

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