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看図アプローチ [授業研究・分析]

 先日(8月23日)の校内研修は、本校職員の溝上先生が講師。溝上先生は「アクティブラーニング型授業研究会くまもと」[http://souken.shingakunet.com/career_g/2017/02/2017_cg416_13.pdf]の代表をつとめる全国的に有名な先生で、今年の4月から本校に赴任され、同僚として勤務させてもらっている。私も6月に同会の勉強会に参加させてもらい様々な知見を得たので、今回も楽しみにしていた。

 今回の研修テーマは「看図アプローチ」という手法であったが、結論から言うと、期待を大きく上回る内容だった。看図アプローチとは「絵図・写真・グラフ等のビジュアルテキストを読み解き、読み解いた内容を発信していくプロセスを含んだ授業づくりの方法」である[https://goo.gl/3CGRHv]。科目の特性として、世界史ではビジュアルテキストを使うことが多いため、十分使える。

 6月に受けた研修[]では、なんとなく「ハタと腑に落ちる感じ」を得られなかったため、なんとなくモヤモヤした感じがあったが、今回は「なるほど」という感じだった。「モヤモヤした感じ」の理由は、世界史の場合、問題演習を学びあいでやろうとしても、「深い学び」にはなりにくいのではないかという疑問を持ったことによる。世界史の場合はいわゆる「用語」が中心のため、一問一答という形になりがちで、「深い学び」にしようとすると、テーマが高度になりがちである。そこで、統計資料を用いた入試問題にグループで取り組むということをやってみたが、ネタはなかなか続かない。しかし、看図アプローチだと、生徒は全員資料集を持っているため、ネタには事欠かない。

 おそらく、多くの地歴科教師はビジュアルテキストの読み取りはこれまで何度も行ってきたと思われる。私が始めてビジュアルテキストの読み取りを意識したのは、二校目に勤務した熊本県立松島商業高校で日本史を担当することになり、『絵画史料を読む日本史の授業』(国土社)という本を手にとったのが初めてだった(この本で用いられている「イメージ・リーディング」という言葉の意味は、「看図アプローチ」に近いと思う)。熊本県の公立高校入試でも、アヘン戦争におけるネメシス号の絵の読み取りが出題されたこともあるし、世界史のセンター試験では風刺画が使われることも珍しくない。私もこれまで「蒙古襲来絵詞」の読み解き(NHK-Eテレ「わくわく授業」で紹介)や、ベラスケスの「ラス・メニーナス」を読み解く授業などを行ってきた。
 しかしこれまでは、私自身の解釈に向かって生徒を誘導して行こうという意識が強すぎて、生徒の自由な解釈を生かすことができなかった。生徒の看取りと自由な解釈→共有→意見交換→修正と深化....というプロセスにすれば、学びの相互作用が生まれるのではないだろうか。

 美術館の展覧会に行くと、人出は多い。「歴史の授業は好きじゃないけど、絵を見るのは好き」という人はけっこう多いと思われる。その意味でも、看図アプローチの活用の可能性は高いと感じている。

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