『ホーンブロワー~海の勇者』 [歴史映画]
セシル・スコット・フォレスター原作の小説をもとにしたテレビシリーズで、1998年からイギリスで放映された『ホーンブロワー』がミステリチャンネルで放送中です。『炎の英雄シャープ』は、もともとこの『ホーンブロワー』の陸軍版というコンセプトで書かれたのは有名な話ですが、映像版は『シャープ』に劣らずかなり面白い。17歳の若き士官候補生ホレイショ=ホーンブロワーが、様々な苦難に直面しながらもそれらを乗り越えていくことで成長していくというストーリーで、『シャープ』の「男の友情」的な世界とはまたひと味違った面白さがあります。主演のヨアン・グリフィスはなかなかの好演で、彼の沈着冷静な上司のペリュー艦も、これまたカッコいい。そしてマシューズをはじめとする、元ジャスティニアン号の水夫たちもそれぞれに個性的でいい感じです(やはり「老練」という言葉がピッタリのマシューズが一番)。
実際に帆船を使って撮影したという映像の迫力も見事ですが、当時の海軍の様子がかなり興味深いところ。家畜を生きたまま連れいているなどの船内での生活の様子、『シャープ』の陸軍兵士たちが「イエス、サー」だったのに海軍兵士は「アイ・アイ、サー」と答えるなど、色々と面白い様子を見ることができます。士官候補生とか、海尉心得とか、陸軍に比べると海軍の階級はかなり難解です。
海軍士官候補生 (ハヤカワ文庫 NV 36 海の男 ホーンブロワーシリーズ 1)
- 作者: セシル・スコット・フォレスター
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1973/02
- メディア: 文庫
ナポレオンの密書 (ハヤカワ文庫 NV フ 1-15 海の男/ホーンブロワー・シリーズ 別)
- 作者: セシル・スコット・フォレスター
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2007/03
- メディア: 文庫
『レジェンド・オブ・エジプト』(フランク・ロッダム監督、1999年、アメリカ) [歴史映画]
原題は『CLEOPATRA』。マーガレット・ジョージの小説『追憶のクレオパトラ』を原作に、全米でテレビ放送された作品。テレビ作品ながら、3000万ドルの製作費をかけたということで、セットや衣装も豪華で、戦闘シーンもそれなりに迫力がある。クレオパトラには、映画『ブレイド2』のレオノール・ヴァレラ(デカプリオの『仮面の男』で舞踏会のシーンにチョイ役で出てた)が扮し、アントニー(アントニウス)は『タイタニック』でジャックとローズの恋仲を邪魔する資産家キャルを演じたビリー・ゼーン、シーザー(カエサル)は4代目007ティモシー・ダルトンと、テレビ作品としてはかなり豪華。クレオパトラはエジプトの女王なので、容姿的にはOKだけど、いかんせん品がないし、シーザーのインパクトが強すぎの感は否めない。またアントニウスと対比させるためにオクタヴィアヌスがかなりトホホな人物に描かれていたけれども、もう少しよく描いてもよかったのでは?個人的には、『炎の英雄シャープ』でハーパーを演じたダラー・オマリーが、アントニウスの部下役で出てたのが良かった(笑)。5点満点の2.5点というところ。
各方面の協力により、『20世紀少年』22巻まで読破。いよいよ『21世紀少年』である。楽天ブックスにオーダーした。それにしても『Pluto』の005は、いつリリースされるのだろう。「いつでる.com」にもでていない。
『ヘンリー5世』(ケネス・ブラナー監督、1989年、イギリス) [歴史映画]
大作『ハムレット』(1999年)で脚光を浴び、『魔笛』が公開中のケネス・ブラナーの初監督作品。主演のヘンリー5世も、シェークスピア舞台俳優出身のケネス自身が演じています。1945年にローレンス・オリヴィエが映画化した、シェークスピアの舞台劇のリメイク作品です。
役者全員、まるで舞台の上にいるかのような台詞回しと表情が素晴らしい。特にケネス・ブラナーの静(アジンコート前夜の独白)と動(合戦前の演説)の使い分け、表情、間の取り方、すべてにおいて一見の価値ある演技です。やや過剰という感じもしますが、「舞台上」という設定ゆえ、私はかまわないと思いますけど。彼以外にも、顔の表情だけでその場の緊張感や雰囲気が伝わってくる、芸達者な俳優ばかりが起用されています。中でも味のある表情と演技を見せる女将さんは、『あるスキャンダルの覚え書き』で、ケイト・ブランシェット(『エリザベス』)との競演が話題となった、オスカー女優のジュディ・デンチ。彼女もシェークスピア舞台劇出身です。
最大の見せ場は、アジンコート(アザンクール)の戦い。雨と泥土の中、オーケストラをバックにスローモーションで流れる戦闘シーンは、戦争後の行進のシーンに至るまで、血なまぐさい場面ながら英国的美意識を感じさせます。
『トンマッコルへようこそ』(パク・クァンヒョン監督、2005年、韓国) [歴史映画]
今日と明日、「第4回韓国映画祭 in きくち」が菊池市文化会館開催される、ということで私も行ってきました。上映作品は、「トンマッコルへようこそ」「デイジー」「墨攻」の3本。「墨攻」がラインナップに含まれているのは少々疑問でしたが(確かに日中韓合作だけど)、最初に上映された「トンマッコルへようこそ」はよかったです。
【ストーリー】
朝鮮戦争の最中、マッカーサー指揮下の国連軍が仁川に上陸して韓国軍が反攻に出る中、敗走する北朝鮮軍の兵士3人、部隊を離れた韓国軍兵士2名、そして1名の米空軍パイロットが、一つの村にたどり着く。最初は対立していた彼らだが、純粋な村人たちと暮らすうちに心を通わせるようになる。しかし.....
少女ヨイル役のカン・ヘジョンの演技と、全員でイノシシを倒すシーンがよかった。ラストの4人のシーンも意味深で、余韻がありました。いい作品です。ご夫妻で見えられていた国語のH先生も、「良かった」とおっしゃってました。
公式サイト [http://www.youkoso-movie.jp/]
『蒼き狼 ~地果て海尽きるまで~』(澤井信一郎監督、2007年、日本・モンゴル ) [歴史映画]
Wikipediaの評価通りの作品。反町隆史の演技は、NHK大河ドラマ『利家とまつ』の時の織田信長のほうがよかった。ジュチ役の松山ケンイチの演技は悪くないが、彼の出番は極めて少ない。なぜ松山ケンイチより、クラン役の新人女優の出番の方が多いのか?松山ケンイチの名前を大々的にクレジットするのは、ほとんど詐欺。ジャムカとの戦いなど、大規模な戦闘シーンだけが見るべきところ。楽天カードに申し込んで2000円分のポイントをもらったので、「豪華版」を買ったのだけど、大失敗でした。レンタルですませればよかった、と後悔することしきり。授業で使えるかと思ったのだけれど、これじゃなぁ、って感じです。この夏休みに買ったもののうち、二番目に後悔したもの。一番後悔したモノは.....
公式サイト[http://www.aoki-ookami.com/]
『クルセイダーズ』(ドミニク・オッセン・ジラード監督、2001年、ドイツ・イタリア合作) [歴史映画]
『キングダム・オブ・ヘブン』と同じテーマを扱った『クルセイダーズ』という映画がある、という話を以前教えていただいてました。その『クルセイダーズ』が、現在Gyaoで放送中。前編と後編に分かれています。日本では劇場公開されなかったため、キネ旬DBに掲載されておらず、Gyaoでは「映画」カテゴリーではなく「ドラマ」カテゴリーに含まれているのはそのためでしょう。スタッフや俳優はあまり知らない人ばかりで、壮大なB級歴史大作映画という感じですが、よく出来た作品です。
Gyaoのレビューにもあったように、イントロのナレーションでは「残虐なイスラム」という偏った見方の作品か?と感じましたが、なかなかどうして理想を持って赴いたイェルサレムで、十字軍の現実に直面してとまどう若者の様子が巧く描かれています。これもGyaoのレビューにありますが、主人公らの出身地がイタリア半島(タラント公領アウロカストロ)というのに、領収の名はウィリアム、リチャード、ジョンとイングランド王を彷彿とさせる名前なのは少々疑問。バイキングのヤールという人物、出で立ちが典型的なバイキングなのはご愛嬌です。ビザンツ帝国軍が対イスラーム戦に活用したという、「ギリシア火」が出てきます。
この作品は第一回十字軍を扱っているので、その後の話として『キングダム・オブ・ヘブン』を見ると、時代的につながります。
『墨攻』(ジェイコブ・チャン監督、2006年、日本・中国・韓国) [歴史映画]
【映画について】
中国歴史小説の第一人者、酒見賢一原作の小説をベースにマンガ化した作品『墨攻』を映画化した作品。日本・中国・韓国の合作。東アジアの連帯と協力を象徴するかのような作品ですが、なぜか主演は嫌日家として有名なアンディ・ラウ(特典映像に収録されている来日時の映像では、にこやかに「コミック版の革離に似てなくて原作者に申し訳ない」などと語っているが)。革離に従う弓の名手、子団には台湾のニッキー・ウー、近衛騎兵隊の女性戦士、逸悦は中国の若手女優ファン・ビンビンが演じている。ちなみに子団と逸悦は映画版のみの登場人物。また趙軍の将軍、巷淹中を演じるアン・ソンギは、ユニセフ親善大使などをつとめる韓国の国民的俳優。
【ストーリー】
戦国時代末期、燕の支城である梁は、猛将巷淹中率いる10万の趙軍に攻められる。墨家の技術者である革離は、梁の支援要請を受けて梁城に到着、城民を鼓舞して趙の大軍を迎え撃つ。
公式サイト[http://www.bokkou.jp/]
【見所・感想など】
戦国時代の中国の生活が、よく再現されていると思います。攻城戦をはじめとするアクションシーンも多く、ストーリー的にも楽しめますが、『薔薇の名前』と同じく女性(逸悦)の登場は不要な気もします。彼女の死によって、戦争の理不尽さを示そうとしたのでしょうか?最後に姿を消してしまう子団はどうなったのか、気になるところ。地下の坑道を掘るために使役されていた奴隷の中に、アフリカ系の人が出てきますが、原作コミックに登場する異形の穴掘り奴隷ほどのインパクトはありません。気球による空からの攻撃は、原作にあった凧による攻撃をアレンジしたものでしょう。DVDの2枚目は、アンディ・ラウの来日時の記者会見や中国(北京)でのプレミアの様子、メイキング映像ですが、メイキング映像はセットの中を見て回るだけ。熱心なファン以外には、まったく不必要なものばかり。
『ヒトラー~最期の12日間~』(オリヴァー・ヒルシュビーゲル監督、2004年、ドイツ) [歴史映画]
原題は『Der Untergang(没落)』。9月1日まで、Gyaoで配信中。というわけで観てみましたが、よく出来た映画でした。途中CMがはいり、常に画面右側に広告が表示されますが、仕方ないところ。途中で中断する場合、頭出しをしながら見る場合でもCM部分だけはもう一度見なければなりません。ヒトラーを始め、ゲッベルスやエヴァ・ブラウンなど俳優が皆ソックリ。演技も迫真の演技、といってもよく、そのためナチの人々に感情移入してしまうほど。おそらくヒトラーをとりまく人々、さらには女性や子どもをはじめ市井の人々の描写がしっかりしているためでしょう。
キネ旬DB[http://www.walkerplus.com/movie/kinejun/index.cgi?ctl=each&id=36316]
ヒトラー~最期の12日間~エクステンデッド・エディション<終極BOX>
- 出版社/メーカー: 日活
- 発売日: 2006/11/10
- メディア: DVD
『宋家の三姉妹』(メイベル・チャン監督、日本・中国、1997) [歴史映画]
原題は『宋家皇朝』(The Soong Sisters)。宋靄齢(国民政府財政部長を務めた孔祥煕の夫人)、宋慶齢(中国の国父とたたえられる孫文の夫人)、宋美齢(蒋介石夫人)の「宋家三姉妹」の愛憎を軸に、清朝崩壊以後の中国近現代を描いた大河ドラマ的作品。蒋介石が日本の陸軍士官学校に留学したことや、孫文が慶齢と結婚したのが亡命先の日本であったりと、満州事変や日中戦争以外の日本との関わりも再認識できました。授業で見せるには、よい映画だと思います。
キネ旬DB [http://www.walkerplus.com/movie/kinejun/index.cgi?ctl=each&id=30728]
この時代の中国を描く場合、孫文や毛沢東、蒋介石、周恩来といった男性中心に描かれるのが普通です。しかしこの映画の主人公はあくまで三姉妹。映画中最大のヤマ場とも言える西安事件の際も、張学良が出てくるのはほんのわずかな時間だけ。重要な役割を果たしたとされる周恩来に至っては、名前しか出てきません。世界史の教科書に出てくる中国現代史の諸事件を、教科書とは違った視点から見ることができる好作品です。重要な事件とその年号は字幕で表示されるので、見るときは字幕をONにしたほうがよいでしょう。ちなみに、教科書にでてくる浙江財閥の中でも代表的なのが四大家族といわれますが、そのうち二つが蒋介石と孔祥煕です。
三姉妹の中では、宋慶齢を演じたマギー・チャン(チャン・イーモウ監督の『HERO』で、トニー・レオンの恋人でクールな刺客、飛雪を演じた)の演技が光ります。蒋介石の上海クーデタに毅然と反抗する彼女は、実にカッコいい。
『キング・オブ・キングス EPISODE 2 帝国の崩壊』(イブ・シモノー監督、2002年、フランス) [歴史映画]
原題は『Napoleon』。2002年にフランスで放映されたテレビドラマでフランス、ドイツ、イタリア合作。そのわりには、なぜか皆英語でしゃべっている。フーシェ(ジェラール・ドパルドュー)とタレーラン(ジョン・マルコヴィッチ)の存在感が強く、ナポレオンのインパクトが今ひとつ弱いのは、物語の核となるエピソードがないからだと思います。制作費はかなりつぎ込まれているようで、戦闘シーンも大規模です。が、時間的制約ゆえか短時間で終わってしまい、ロシア遠征の失敗もサラリと流れてしまいました。世界史の教科書に出てくるエピソードを視覚でたどる、いった感じの作品です。
今まで今ひとつよく分からなかった部分で、「なるほど」と思った点もいくつかありました。まずは最初の流刑地エルバ島での生活。「エルバ島の主権者」ということで、それなりの生活を送っていました。が、それより興味深かったのが、当時の歩兵が組む「方陣」。『炎の英雄シャープ』の最終回「ワーテルロー」で何度も会話に出てきましたが、少し写っただけで全体像がよくわかりませんでした。この映画のワーテルローの戦いのシーンで、方陣の全体像を見ることができます。
今日は雷雨のためかスカパー!の受信状態が悪く、『炎の英雄シャープ~新たなる挑戦』を見るのを断念(ハーパーを撃て、と命令されて引き金を引いたものの弾が出なかったところまで)。また土曜日に。
面白い。[http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/domestic/child_care/?1184243053]
はたしてウチの子は.....